忘れないよ 男主
□●忘れられないひびをF
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IH初日
仙台市体育館
わぁ…久しぶりだな。中学の時も来たけど、大きいとこだとは思った。
今見ても。やっぱり大きいかも。
入り口にブロック表がはりだされてる。
お、どっかの高校が見てる。
「トリノ?」
「カラスノじゃね?」
「カラスノって、前まで強かったとのじゃん?」
「今ではダサい異名ついてて」
「堕ちた強豪飛べない烏」
あちゃ、俺らのこと、あんなこと言ってる。
まずいなぁ。
ほら
皆怖い目で見てるって気づけ。
「飛べない?」
あぁ、田中くん絡んで行っちゃった。
「コラいくぞ。スミマセン。」
ほっ。大地が止めに入った。
「楓、目が怖いよ?」
「へ?そう?」
隣を歩いていた孝支に肩を叩かれた。
「ああ言われて反応するなんて、烏野バレー部に染まったんだな」
「そうかな」
何か嬉しいかも。
****************
体育館に入ると、俺らの前から他校生が退き、道が出来た。
コソコソと声が聞こえる。
何だか黒い…
あいつ、もしかして、烏野のアズマネ!!5年留年してるらしいぜ。
成年!?
ビクッ
旭が反応した。
「俺はさ、外見からワイルドな感じになろうと思って」
「そういっているところがワイルドじゃないんだよな。」
旭の一生懸命な弁明に大地がため息をついた。
「自分がカッコイイと思っていればいいじゃないですか!」
「こういうのがワイルドっていうんだよ」
バーンとしゃきっと言い放つ西谷くんを見て孝支が同じくため息をついた。
「楓…」
旭が涙目で俺に救済の眼差しを向けてきた。ったく。
「旭って他から見たらそうなのかなぁ。俺、別に見えないけどな。俺はバレーしてる旭がカッコイイと思うよ。それで黙らせればいい。だろ?」
「楓…!」
そんなに晴れやかな顔で見てくるなって。
「晴凪さん!いいこと言いますね!」
西谷くんに褒められたからいいとしよう。
あいつ、千鳥山にいた、ベストリベロ賞貰った西谷だ!
何で烏野にいるんだ?
…王様もいるぜ。
西谷くんは、周りの声に耳を傾けず前を見てるけど、影山は声に敏感に反応した。
影山の肩を抱き頭をポンと叩く。
「俺は、影山の中学時代を知らないけど、今の影山は決して王様じゃないよ。
ガツンと見せつけてやろうぜ」
「うす」
すれ違う人から視線を感じるけど、そらされてりして、俺の噂は聞こえてこなかった。