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□私と彼との出会い
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どうやら私は恋をしたらしい
それも小説の中の人に

私には趣味で小説を書く友達がいて
試しにとよく読ませてもらっている
その友達が自信作だと渡してきたのがバスケ部の青春ものだった
そしてその小説の登場人物に恋をしてしまったのだ
それもレギュラーでもないベンチの彼に

なんで好きになったのかは分からない
レギュラーで活躍のしてる人ならまぁ好きになるかもしれない
でも彼はベンチでたまに試合に出れるぐらいの、モブ扱いだった気がした
そんな彼に私は惹かれたのだ
陰で支えるかっこいい姿に、チームのことを考える優しいところに、恥ずかしがり屋な可愛いところに、身近な人に例えるなら母親ってほど母性溢れた抱擁力のあるところに

でも私が彼について知ってることは
主役チームのベンチの1人
料理が上手
兄弟が多い
そして、喋れないということぐらいしかない

普通といえば普通だが喋れないというのはどうなんだろうか?
というかその小説がノンフェクションなのか分からないのだ
友達はありそうでありえない小説を書くのが好きで決して本当のことなのかは教えてくれない
何故なのかはわからないが無駄に頑固なのだ
ノンフェクションならば彼にあえるかもしれないと希望を持たせておいてそのまま放置なのだ
相変わらずな性格の持ち主だった

私にもプライドがあるというか小説の中の人に恋をしたとは言いづらかったのだ
それも友達の書いた小説の登場人物だから
まぁ聞いても教えてくれるとは思えないが

そして彼の名前は水樹という
まぁ友達のつけた名前だろうけど
ノンフェクションの時には実名を使わないのが友達の決めたことらしい
探すにも探せないのだ
私は彼を水樹と呼べなかった
現実に彼がいると信じたかったから


友達が私に小説を見せて1ヶ月がたった
それでも私の恋は終わりそうになかった

私が小説ばから読んでいて暇そうだったせいか同じ大学の女子が合コンに誘ってくれた
彼女たちからしたらたんなる数合わせのためだろうけど、気分を変えるいい機会だと思い参加することにした

相手は違う大学のバスケ部の男子らしい
バスケ部とは縁があるのだろうか?
なんか微妙な気分だった

合コン当日になった
女子5人男子5人で食事するみたいだ
にしても女子の気合はすごかった
メイクに服装、言葉遣いに態度なかなかな変わりそうだった
普段はうるさい女子がお淑やかな可愛らしい女子に変身だ

男子はどうやら高校からのバスケ部だったみたいで彼女がいない人達で集まってきたらしい
その中でも気になったのは黒髪で長身の水戸部くんだった
水戸部くんは喋れないらしく紙に書いて言いたいことを伝えてくれた
ご飯をとってくれたりと、ここは女子がするとこなのでは?と思うことを笑顔でやってくれた
なんか女子力というか母親みたいな人だった
まるで彼のようだった
もしかしたらあの小説はノンフェクションなのかもしれない
また期待で胸が膨らむ
それにどうやら水戸部くんも私に気があるみたいだった

その後水戸部くんと店を変えることになった
どうやら話があるみたいだった
それも周りがいたら言いづらい話で
私は構わないとすぐに返事をした

水戸部くんから話されたのは1つの漫画の話だった
友達から読ませてもらったものらしく学園モノだった
そして水戸部くんはその中の彼女に恋をしたらしい
なんか私と同じ境遇だった
友達はなにか企んでるのではないのだろうか
そして彼女は私と似てるらしい
ますます怪しい気がしてきた
私も水戸部くんに伝えたのだ恋してることを
水戸部くんも驚いていたがすぐ笑顔になった

変わった境遇を持つ私達は





友達から始めることしました

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