この赤はいつかはじける
□真っ赤
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1棟から8棟が連なり向かい側は海、私がいた場所は森側。
森側の建物からどこの棟かわからないがまずは適当に侵入する。
勢いをつけて飛び込み腕を交差させ防御しながらガシャン!と窓ガラスを割って受け身で転がりながら侵入すると目前には驚いたようにこちらを振り向く普段のスーツではなく防具を纏ったCCGとダサい骸の仮面と黒いコートの喰種たちがいた。
「な、なんだお前は…っ!?」
「あの目…っ……オッドアイだ!!」
「っ本部!本部!新たな侵入者!こちら5棟の、「あのさ」」
「────遅いって」
人間と喰種の鮮血が、飛び散った。
「…ふははっ!ナニコレ、弱すぎるよ」
グシャ、グシャ、ニチャニチャ
既に卑劣な音しか響かないこの棟で半殺しを楽しんでいたが、獲物たちが既に息絶えてしまった。だから、死体を飽きるまで原形がわからないぐらい跡形もなく抉ってやることにした。
退屈だ。あああつまらない。本当に、つまらない。弱い。弱すぎるよ。人間も、喰種も、なんなんだ、脆い、儚い、違う、弱い。殺さないって言ってるのにすぐ息しなくなるし、止まるし。なんなの?…ほら、応えてよ。私を退屈させないでよ、ねえ、ねえってば。………………あ、またしんだ。マタシンジャッタ。死んだ。あーあ、つまんない。つまんないつまんないツマンナイつまんないつまんないつまんない。誰かすっごく強いのいないのかな。殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても殺っても死んでくれないそんなの、いないのかなあ。
「───オイ」
「っ、!」
ヒュン、風を切るような速さで何者かが突っ込んできた。
抉っていた死体をグシャと踏みつぶして後ろへと後退して着地し、出来るだけ距離を保ったことを確認してからスッと立ち上がってゆらりと視線を上げて明らかに殺ろうとした攻撃を仕掛けてきた相手を見やる。深い紺色の髪は絹糸のようだが少し癖っ毛で、背格好は私より少し大きいくらい。見た目でまず、男だ。だが男とは思えないぐらいきめ細かな白い肌は、端整な顔立ちを際立たせている。
今の彼の攻撃は少なからず私に致命傷を与えたかもしれない。まあそんなの、受けてもすぐに癒えるだろうけど。
「…誰。邪魔しないでくれない?」
「うるせぇ…あそこのは全部俺が殺る予定だったんだよ、ふざけんな。……しかもお前、見たことねぇツラだな?…その目なんなんだよ気持ちワリィ」
”ソノメナンナンダヨキモチワリィ”
「……っ黙れよ雑魚が……!アンタに話すことはない…!!」
ズルルッとまずは鱗赫を引き出せば既に羽赫を泳がせているソイツに向かわせる。
「ッ…!…っは、殺ってみろよ、馬鹿が!」
「だから………!…ッチ、もういい……殺る。決めた。ムカつくから」
──今すぐにみてろ、そのキレイなお顔、ぐっしゃぐしゃに歪めて殺るから。原形がわかんないぐらい、いつも以上に。