短いお話
□少しだけ、背伸びして
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西谷夕side
───最近、もへじの様子が変だ。
俺と居るときも妙にそわそわして、自分の身なりをやたら気にしたり。
その意味が俺には全くわからなかったりする。
一体、なんなんだ?
以前の潔子さん事件から約2ヶ月。
アイツを好きだって気持ちがもっともっと増して、俺なりに愛ってやつを精一杯送っている今日この頃。
毎年龍と行ってた坂ノ下商店を少し過ぎた神社である夏祭りに、今年はもへじを誘った。
お袋にばっちりアイロンをかけてもらった甚平を着て、気合い入れていつも使用している首に真っ白なタオルをかける。
なんせ、部活に打ち込みまくっていると正直あいつに構ってやれる暇がない。
そんな日々のなかで、午前中練習のみだったこの日。
やっともへじと過ごせる時間が出来た。
「───…うしっ!じゃあ行ってくる!」
俺はお袋に一声かけると、弾んだ心のまま玄関を飛び出し待ち合わせ場所の神社へ向かった。