My little gray cells 番外編
□桜
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「わかば、ご機嫌だね。」
「そうかい?」
石鹸の香りのするシャーマンが私を覗き込んでニッコリと笑った。
「良いことあった?」
「まあね。素敵な人に会ったよ。」
読んでいた本を閉じると、ベットに潜り込んだ。
「ん?花言葉の本…?わかば、どうするんだい?こんなもの。」
「さあ?どうしようかな。」
クスクスと笑って同じようにベットに潜り込むシャーマンを見つめた。
「さくらをね、調べていたんだ。」
「シャクラ?」
「君もか。」
私は苦笑すると、目を薄く閉じた。
「今度、彼の部屋を探し出して、桜の絵を送らなきゃ。」
「シャクラ?」
「もういい。」
私たちは腹を抱えて笑うと、顔を見合わせてまたゆっくりと瞳を閉じた。
「おやすみ、シャーマン。」
「おやすみ、わかば。」
すっと、眠りに入る瞬間に思い出した桜のフランスでの花言葉に、緩んだ口元を戻す気にはならなかった。
結果、私はにやけたまま眠りについたのだった。
Ne m’oubliez pas
私を忘れないで
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