My little gray cells 番外編
□Kattenstoet!!
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僕たちはシャーマンの動物小屋に来ている。
「やあホームズ。....何してるの?」
「今、アレクシアの誘いでベルギーの猫祭りらしきことをやってるんだ。僕とアレクシアは王様と王妃。」
「へぇー面白いことをしているね。ホームズのはかっこいいしサティーは美人さんだねぇ。」
そういってシャーマンは僕らの被り物をまじまじと見た。そしてジョンを見て首をかしげた。
「あれ?ワトソンは猫じゃないの?」
「うん、道化師なんだって。」
「道化師にも大切な役目があるからね。猫のぬいぐるみを投げるのさ。」
そういってポケットに入れていた小さな猫のキーホルダーをジョンに渡した。ジョンはそれを眺めてから遠慮がちにシャーマンに投げた。シャーマンは笑顔でそれを受け取った。
「これ、もらってもいいの?」
「Oui.シャーマンが喜んでくれるならもちろんさ。」
「ありがとう!」
シャーマンはキーホルダーを抱いて笑顔を僕に向けてくれた。その笑顔は本当に嬉しそうで僕も嬉しくて笑った。
僕らはシャーマンの動物小屋をあとにして、ディーラー寮の前を通り過ぎようとしていた。
「....シャーロック?」
声がした方を振り返るとこの学校の生徒会長であり、シャーロックのお兄さんでもあるマイクロフトさんがいた。
「....厄介なのに見つかった。」
「何か言ったかシャーロック?」
「いえ何も。兄さんはどうしてこんなところに?」
「生活委員会の会議の結果を聞きにちょっとな。
それにしてもなんでそんな妙な格好を。」
マイクロフトさんはシャーロックを上から下まで眺め、僕も頭からつま先まで見られた。
「ふぅん....シープスとミネケ・プスと見受けたが。」
「流石マイクロフトさんです。」
僕はまゆを下げ、肩をすくめて適わないやと笑った。マイクロフトさんはそれに満足げに笑った。
「ということは2人は今、夫婦なのか。」
「そうですけど、何か?」
「おや、随分と誇らしげだなシャーロック。」
「それは....。」
「それはこれだけ美しい妻を持てているからですよ。もちろん、僕はこんなに格好いい旦那様がいて誇らしいんです。」
兄弟喧嘩でも始まりそうな雰囲気のところに僕がミネケ・プスになりきって割り込んだ。似た顔の2人が僕を見て目を開いていた。表情までそっくりで僕は思わず笑いそうになった。
「....これはこれは....楽しそうだ。このことは見逃してあげるけどロイロット先生やミルヴァートン、モリアーティー教頭には見つからないようにな。」
僕たちはその先生達の存在を思い出してひやひやしながら帰ることにした。