My little gray cells 番外編
□Kattenstoet!!
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僕らは部屋から出た瞬間、好奇の目に晒されることになった。まぁそうだろうね。
「アレクシア。」
「なんだい?」
「今、僕は王様シープスでアレクシアは王妃ミネケ・プスなんだよね。」
「そうだよ?」
「じゃあ....今、僕たちは夫婦だ。」
「へ?あ、そ、そうだね!」
シャーロックがいきなりそんなことを言ったと思ったらぶっきらぼうに僕に腕を出した。なんだろうと思ってシャーロックを見ると不機嫌そうに眉をひそめていた。
「エスコート。」
「あ、あぁ。エスコートかい。
じゃあ....お願いするよ。」
僕はちょっと恥ずかしかったけど王様シープスになりきっているシャーロックにエスコートされることにした。
仮装した僕らが一番最初に出会った知り合いはゴードンだった。
「やあ....?」
「「「やあ。」」」
僕らは声を揃えて挨拶した。けどゴードンはまだ理解できないのか固まったままだった。
「ゴードンは今まで何してたんだい?」
「えっ?あ、生活委員会の集まりがあってその帰りなんだけど....それなに?」
「僕は王様だ。そして隣にいるのが僕の、妻だ。」
シャーロックは笑顔で僕を指しながら言った。身振りなんかも王様っぽくなっている。僕もそれを見てお妃様っぽくお辞儀した。
「え!!?」
「そういう設定ってこと。サティーが面白いからって僕たちに勧めてきたんだ。ベルギーのお祭りらしいよ。ちなみに僕は道化師。」
なんだかんだでなりきって楽しんでいるシャーロックを尻目にジョンは至って冷静に事の顛末を話した。なんだか立場が逆転しているみたい。
「ゴードンも入るかい?」
「いや....遠慮しておくよ。」
少し引いたようにゴードンは言った。楽しいのにな。
「じゃあ、僕らは行くよ。ミァオ。」
最後に鳴き真似をしてゴードンに笑いかけた。するとゴードンは固まったまま僕を見ていた。....そこまで露骨に気持ち悪がられると傷つくな。
「じゃあね、レストレード。行こうアレクシア。」
「うん。ほら、ジョンもー!」
僕はシャーロックに腕を引かれながらジョンを呼んだ。道化師と言うよりなんだか僕らのお付きの人みたいだと思ったのは内緒にしておきたい。