My little gray cells 番外編
□Kattenstoet!!
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「シャーロック!ジョン!」
僕はそう言って猫のぬいぐるみを投げた。2人とも何を投げられたのか分からず慌てて手を出してそれを受け取っていた。
「なにこれ....ってサティー!?」
「ミァオ。」
僕は大きな猫のぬいぐるみを両腕で抱きながら猫の鳴き真似をしてみせた。
「....これは?」
「実はね、この間読んだ本に面白いことが書いてあってね。ベルギーでは猫祭りっていうのがあって、それをやってみたくてこんな格好してるのさ。」
僕は机に置いていた本を指さして笑った。僕が今している格好は制服で頭に猫のかぶりものを被って、ベルトに尻尾をつけたものを腰に低めの位置で巻いている。
「ふぅん。だから、そんな格好って訳かぁー。何だか楽しそうなお祭りだね。」
ジョンが羨ましそうに僕の被り物を見ていた。
「このお祭りは昔、ベルギーのとあるところでたくさんの猫が殺されたことに由来しているんだ。その地域では毛織物をネズミから守るために猫がとても愛されていた。けど魔女刈りのときに、魔女の手下だと言われていた猫がたくさん殺されたんだ。そのことを忘れないためにも、そして殺された猫を祀るためにもお祭りが開かれるようになったのさ。でも、お祭りは1人じゃつまらないだろ?
実はこの被り物、君たちの分もあるんだ!」
そういって猫祭りについて語り終わった僕は猫のぬいぐるみを机の上に置いて、そこから被り物を探し出した。
「ほら、これが君たちの分!こっちが王様のシープスで、こっちが道化師さ。」
僕は2つの被り物を差し出してどっちがいいかを2人に尋ねた。シャーロックは不思議なものを見るように僕の手の中の被り物を見ながらちらりと僕を見上げた。
「....アレクシアのそれはなんの仮装?」
「これかい?これは王妃ミネケ・プスさ。シープスの奥さんだからね、美人だろう?」
僕は帽子のようになっているそれを見せて言った。
「へぇー!確かに綺麗だよね!じゃあ僕はシープスにしようかな?」
ジョンがそういったので僕もシープスの被り物を渡そうとした。けれどそれはシャーロックの手によって阻まれた。
「よ、横取りなんてずるいぞホームズ!」
「ワトソンはこのサイズの帽子は被れないだろ。」
そう言うが早いか、シャーロックは自身の頭にシープスの帽子を被った。ジョンは言葉に詰まったようにむっつりとしたあと、不服そうに道化師の帽子を被った。
「ジョン、意外と似合ってるよ!サーカスにいるみたいだ!」
「....ほんと?」
僕が褒めるとすぐに嬉しそうに頬を緩めた。シャーロックは僕をじっと見つめていた。
「どうしたんだい?」
「いや。シープスというのは流石美しい猫の夫だけあってなかなかハンサムな猫だな。」
「そうだね。シャーロックにとても似合ってる。かっこいいよ。」
「アレクシアも似合ってる。」
「2人ともお似合いだよ!
そうだ、これで少し学校内を回ろうよ!」
3人で顔を見合わせて、みんな満更でもないのかジョンの提案に乗ることになった。