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□君の切ったスイカ
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あー…、暑い。
最近また暑くなってきた気がする。
そんな時にマネージャーが買って来たスイカ。『仲良く食べるんだぞー』って一言残して帰っていって10分が経とうとしていた。
「ねえーしうちゃん、これってどうやって切るのー?」
「…、そりゃーザクっと」
しうちゃんは実家でもグループでも長男だからスイカを切ったことがないんだと思う。こういう所にたまに文化の違いを感じる。ま、僕もスイカなんて切ったことないんだけど。
「ルハニヒョン、ミンソギヒョン、どうしたんですか?」
大きな目を丸めて僕達とスイカを見るギョンス。
「いや、最近暑いからマネージャーが買ってきてくれたんだよ」
ほうほう、というばかりに頷くギョンス。ギョンスならスイカの切り方知ってそうだなー。
「ヒョン達食べたいですか?」
その言葉にキラキラと目を輝かせ、うんうんと頷く僕としうちゃん。すると、オンマらしく『皆が帰ってきたらね』と微笑むギョンスに2人で頬を膨らませた。
「あっつー…」
「もっと暑くなるから言うなよ」
「ねえ、」
「ん?」
「二人でスイカ切ってみない?」
ニマニマとしうちゃんに微笑むと『お、いいなー!』とノリ気な返事が返ってきた。キッチンに向かうとテクテクという効果音がつきそうな歩き方でしうちゃんが後ろを歩く。
「とりあえず包丁と…まな板?」
「どうでもいいから早く切れ」
「ハイハイ」
必ず何故かしうちゃんの言いなりになってしまう自分。身体は俺のほうが少し大きいし、同い年で誕生月も1ヶ月しか変わらないのに、長男ならではの醸し出す雰囲気には必ずと言っていいほど負けてしまう。
俺の持つ包丁をじっとアーモンド形の瞳が捉えて、少し緊張する。包丁をスイカに当て下ろすとザクリという、いい音がして緑色の皮からは、赤い完熟の果実が出てきた。
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