夏企画!階段小話

□ビデオテープ
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※男子高校生の語りになります

俺のお袋さ、ホラー映画がすごく好きなんだよ

俺が生まれる前は親父が凄い仕事忙しかったみたいで
お袋は親父が帰るまでそういった映画をレンタルショップに借りに行っては家で鑑賞……の毎日だったらしい


もういろんな映画を見たらしくて
それこそホラーと言えば思いつくようなメジャーな作品や
ある意味今の時代ではレアで手に入れるのも難しいようなB級マイナー作品まで
手あたり次第いろんなもの借りてたんだって


まぁそんなことだから近所のレンタルショップでは常連扱いでショップの店員とは世間話するくらいになかよくなってたらしい


そんである日、店員がホラー好きなお袋のためにある一本の作品を薦めるんだよ

知ってるか?゙ら○ん゙って映画

ソイツを薦めたんだ


「これマジ恐いっすよ!!」

とかなんとかゴリ押しされたんで
お袋は喜んでそれを見た

なにしろホラー映画好きなお袋だけど今までホラー映画見て本当に恐怖を感じたことはなかったらしい
ガッカリした作品が殆どって言ってたし


そして今回も店員の言葉とは裏腹にガッカリ
1人真っ暗な部屋でゆっくり鑑賞したが
お袋は全然怖くなかったらしい


そいでビデオテープ返す時に
お袋が店員にその旨を伝えたんだよ

店員は一瞬驚いたらしいけど
すぐにまたドヤ顔で一本のビデオを持ってきた

井戸から髪の長い女でみんなが知ってるであろうあの有名な映画だ


お袋は期待半分、疑心半分で
早速帰宅してビデオを再生したそうだ

だがどうしたことだろう?

そのビデオは何度かけ直しても再生されないんだよ

まぁビデオテープであればそんなのは珍しい話じゃないんだけどお袋は期待もあったことから腹立ててレンタルショップにもう一度顔だしたの

それで入店開口一番
「ビデオ再生されないんだけどどういうこと?」
と威圧的な喋りで店員に話しかけた
「あっ……すみません」
だがこの時謝った店員はこのビデオを渡してきた張本人ではなかった
それでお袋はK(ビデオ紹介&渡した店員)を呼べって言ったらしい

そしたらその店員
首かしげてこう答えたんだって




「Kさんという方はこの店では働いていないのですが……」






お袋はその後もレンタルショップに通いつめた

Kは二度と現れることはなかった



俺は何よりもホラーにもビビらない、
そんなことがあってもその店に通いつめるお袋が一番怖い
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