HelloGoodbye番外
□HappyHalloween!!
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「諸君。今日、10月31日はハロウィンだ。菓子を貰うなり悪戯するなり、思う存分に暴れてくれたまえ」
これは、10月31日に婆裟羅学園の教頭、松永久秀の言った言葉である。
そう、全ての混乱はここから始まったのだ。
「「ハッピィィハロウィィィン!!!」」
ドッカァァン!!
3年生の教室を蹴破りながら叫んだのはご存知、主人公コンビの紫乃と空。
紫乃はゲンガーの、空はジュペッタの姿を扮している、所謂コスプレ姿だ。
「あー、やっぱり来たかー」
「イベント大好きだもんねぇ」
そんな彼女達に怒るわけでもない3年生達は当然のようにノホホンとしながらそれぞれお菓子を取り出し、2人の持つ袋へポイポイと投げ入れた。
「………絶対オカシイだろ!!?」
そんな中、ガタリと席を立ち上がった男子生徒がいた。青い帽子を後ろ向きにかぶった黒髪のイケメンだ。名を、宍戸亮という。何故ここにいるのかと問われれば、一応コレはテニプリとの混合だから無理矢理出演させたと答える他ないため深くは聞かないでもらいたい。
「扉を蹴破っての登場に何で誰も突っ込まねーの!?」
「は?何言ってんだってばよ宍戸サンよぉ」
紫乃が呆れた目で宍戸を見て、空は呆れたように首を振っている。宍戸の頭にクエスチョンが浮かび、彼が首を傾げれば空が「いい、宍戸?」と子供を諭すような口調で語りかける。
「婆裟羅学園に常識なんてものは存在しないんだよ?」
「いやそんなのお前等見て嫌っつーほど実感したわ!!」
「俺等なんてまだ優しい方だぜー?他のクラス見てみろよ」
今、彼女達がいるクラスは3年6組。宍戸が言われるままに廊下から顔を出した瞬間、彼の目の前には赤い髪がふたつあった。片方は同じ学校のチビ、もう片方は別の学校だが部活で何度も会ったことのあるガムだった。
「向日、丸井」
「クソクソッなんだよこの学校!?」
「第一声がそれかよ」
ピョンピョンと跳ねながら「マジありえねー!」と叫ぶ向日。そんな彼の隣で丸井は風船ガムをふくらませながら器用に話し出した。
「オレ等の常識が、どこ行っても通じねぇんだよぃ」
「そりゃオメェ、ここ婆裟羅学園だぞ?常識なんてもんは宇都宮んとこのトラに食われてるわ」
「呼んだか、上塚?」
「うっわ狙ったかのように出てきたわコイツ」
顔を顰めた紫乃の足にトラが擦り寄り、そのまま近くにいた空の足にも擦り寄る。空がトラを抱き上げれば、トラは「にゃーん」と一鳴きした。
「そうだ上塚、青崎。Trick or Treatだ!」
「なんで無駄に発音いいんだよ」
「さっき、独眼竜に教えてもらったんだ!」
「あーそりゃ発音良くなるよね」
うんうんと頷いた二人の前にずいっと差し出された手。ニコニコ笑う宇都宮は、美味しいお菓子をもらえると信じているのだろう。その予感は半分正解で半分外れだった。
空が、ちゃんと手作りなお菓子を置いたのに対して紫乃は、なんとビックリまさかの龍角〇のど飴を置いたのだ。
「一昨日あたりに佐竹さんから貰った。お前も大声出すこと多いからな、喉大事にしろよ」
「………………心配してんのか、嫌がらせなのか」
「俺は嫌がらせだと思う」
そんなことを話す今のところ登場しているテニプリメンバー3人は小さな声でそう会話した。
「ま、大声ったらウチの学校は一際声でかいのいるよな」
「だよね。どこにいっても騒がしいのがいるもんね」
二人が顔を見合わせながら赤い同級生を思い出していれば、1組の方向から謎の大声があがる。
「噂をすれば」
「見に行く?」
「行こうぜー。宍戸サン達も着いてくる?」
紫乃が宍戸達に問いかければ、彼等はほんの少しの間考えてから「行く」と頷いた。おそらく彼女達と一緒にいた方が自分達がこの学園の中では常識的な方だと思えることができるからだろう。その判断は全くもって正解である。彼等が単独でこの学園にいれば十中八九、逆に自分達の常識が間違っているのか?なんて考えかねないほど、この学園は異質で特異なのである。
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