HelloGoodbye番外
□鬼さん此方 手の鳴る方へ
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「おーにさーん こっちらッ!手ーのなーる方へ♪」
その言葉は、まるで俺に向けて言われているようで。
振り向くと、ヌマクローを連れた肩までの黒髪の女子が手を構えてニィと笑っていた。
その隣には、ケロマツを連れたもうひとりのポニーテールの女子。
……ヌマクローを連れた小学生の噂は聞いたことがある。「恐ろしくバトルが強い」と。
そんな子が、いったい自分に何のようだ。
女子は、ニパッと笑った。
「元親君だっけか?一緒に遊ぼうぜ!」
ズイッと目の前に差し出された手と、その女子を交互に見る。
……何言ってんだ、コイツ。
「なぁに呆けた面してんだァおい」
「ふがっ!?」
そう言われたと思ったら、急に差し出された手が鼻を摘まむ。
息!息が!!
「なはは!変な顔!!」
「ぽんちゃん、ぽんちゃん。息できてないよ」
「おぅふ…何故口呼吸というものをしないのだ元親君」
パッと放された鼻を押さえながら、自分よりも若干背の高いその女子に向かって怒鳴る。
「いきなり何すんだテメェ!」
「あらコワイ。まるで夏休み前の元親君とは別人だわオホホホ。
なんて冗談は置いといて、理由は…うん。湿気た面してっから元気出してやろうかと」
「……別に湿気てなんかいねぇよ」
「はいはい問答無用で遊びに行くよー」
「も、もんど…?って、おい、離せ!!」
ガッシリと捕まれた腕。俺のランドセルはポニーテールの女子が抱えていた。
って、俺が行くことは決定なのかよ!!
そんなことを思いながら、半ば引きずられるように二人に連れてこられたのは、学園の裏山を少し抜けた場所。
「どぉだァ!俺達の秘密の場所!」
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