華姫
□1.わたし
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やってしまった。
人生始まって以来の失態だ。
まさかこんな時間に教室に来る子がいるなんて。
見られてしまっただろうか。
だとしたら、どう思った?
嫌いになった?それとも…
まさか、まさか私が
花瓶に入った花と会話している所を見られるなんて。
「花に声をかけたら元気に育つ」
なんていうけれど、それは所詮
「元気に育ってね」 とか
「おはよう」 とか
そんなところだろう。
それはただの『挨拶』みたいな物だ。
でも、私は違う。
「そうなんだ」 とか
「大変だねぇ」 とか
花と『会話』しているのだ。
それもそのはず。
だって私 山岡 亜実は
植物の『言葉』みたいなものが聞こえて
会話をすることができるんだから。