小話集

□修羅の叙情詩
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「痛いよ」
「そんな訳あるか」

お互いの吐息がかかる程の近さで見つめ合う。

「もう寝ろよ。お前が寂しくない様、夢の中にも出てきてやるから」
「それは光栄だな」
「出演料取るけどな」
「皇帝の癖にがめついな」
「煩い。いいからさっさと寝ろ」

貴方は再び背を向けた。もう一度その身体に触れたくなったがそれはせず、仰向けになって天井を眺める。

「…眠れないな」

ぼそりと呟くと貴方は堪り兼ねた様に身体を起こした。

「もうお前本当煩い」
「申し訳ないとは思っているんだが」

「何なら出て行こうか」と身体を起こそうとすると乱暴に押し戻された。

「どうせ部屋に帰っても寝ないんだろ。だったらここで俺が寝かし付けてやる」
「子守歌でも歌ってくれるのか?」
「んな面倒な事誰がするか。俺がするのはこれだけだ」

言うが早いか貴方は俺の上に馬乗りになった。

「目ぇ閉じろ」

言われて、素直に目を閉じる。貴方の近付く気配がして、そして瞼に軽い感触があった。

今まで感じた事の無い様な、やさしい、感触。

貴方が今どんな顔をしているのか見たいと思うのに、何故か瞼がちっとも上がらない。

「おやすみ」

不思議だな。
近い筈の貴方の声が何だか遠くで聞こえる。

ああ。
俺は、眠りに付こうとしているのか?
だけど嫌じゃない。今は嫌じゃないんだ。

「…おやすみ」

呟いた言葉は貴方に届いただろうか。







貴方が居ないかもしれない明日なんて要らない。

けれども明日も貴方は此処で笑うよ、なんて言うから。



だから俺は今日も眠る。
明日なんて要らないけれど。








だから俺は此処で眠る。

















疾風大徳つうか大徳疾風に見えなくもない(死)大徳殿ったら疾風を押し倒すわ(違)馬乗りになるわ…。
ウチの大徳は基本男前ですので(笑)疾風は何だかんだで大徳には敵わないんです。
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