小話集
□過去拍手御礼文 1
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いつもと変わらない日曜日だった。
朝から天気が良くて、久しぶりに何処か出掛けるには丁度いいかな、なんて思ったりもしたけど結局家で暇を持て余して、コンビニでも行くかと家を出たのが夕方に近かった、そんないつもの日曜。
家から歩いて10分位の所にあるコンビニで雑誌を立ち読みして、特に欲しくもないけどスナック菓子を二つ三つ適当に見繕って店を出て…溜息を一つ。
「あ−あ…今日も一日無駄に過ごしちまったな−…」
コンビニの袋を手からぶら下げ、家へと歩きながらつい独り言が口から出たりする。
「何か面白い事ねぇかな−…ん、あれは…」
前を歩く見慣れた後ろ姿に気付いて声をかけてみた。そしてすぐに後悔した。
「周瑜だよな?何やってんの?」
振り向いたクラスメートは露骨に不可解そうな顔をした。
そりゃそうだ。クラスメートとはいえ、今まで口を聞いた事等皆無に等しい奴に突然馴れ馴れしく話し掛けられればそういう反応をせざるを得ないだろう。
何で俺、声かけたんだ?
「孫策…だったっけ。何か用かな」
「え?いや、別に用事はねぇけど…」
「そう。じゃ」
そのまま周瑜は歩き出した。俺の家の方向へ。
仕方なくついて行く様に歩き出すと、案の定今度は周瑜から声をかけて来た。
「やっぱり何か用が?」
「…悪い、俺の家がこっちなんだ」
何で俺謝ってんだろ。
「…そう」
その後、会話は全く無くなった。気まずい雰囲気が流れる。
何か、日曜にこいつと顔合わせてるのって変な気分。
それも、こんな風に並んで歩いているなんて。
いつもと変わらない日曜が、何か今日は。
ふと気付くと自宅の前に来ていた。
何となく、気分が沈む。
「あ、じゃあ俺の家ここだから」
「…」
無視かよ。
さっさと家に入ろうとして、もう一度あいつの方を振り向いた。
当然とっくに行ってしまっただろうと思っていた相手とバッチリ目が合った。
けれど周瑜はすぐに目を逸らし、何となく罰の悪そうな顔で背を向けた。
そのまま歩き出した周瑜の背中に声をかける。
「また明日」
返事は無かった。だけど。
小さく、右手が上がった。
空を見上げる。見事なまでに真っ赤な夕焼け空だ。
明日もきっと、いい天気だろう。