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□予測不能カップル
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「良い?兎に角静かに、ね。気付かれない様に近付いて、気付かれないうちに止める。タイミング逃したらオレ達ボコボコだからっ」
「はい」
「おー」

…カッコ良くキメたけど、やっぱり雲雀さんに対峙するのは怖い訳で。
足音を殺しながら、ゆっくり屋上へ向かう。
階段を少しずつ登ると、金属のぶつかり合う音が聞こえる様になって。

「…やってんな」
「うん…」

音しか解らないけど、随分と激しい。
っていうか、音のタイミングが物凄く速くて、やっぱりこの2人は強いんだって改めて思った。

「…慎重にね」
「はい」

屋上の扉の直ぐ近くまで、無事に着いた。
どうやら2人共、こっちに気付いてはいないみたい。
扉に付いてる硝子窓から外を見ると、2人が互いの獲物で殴り合ってるのが見えた。

「良かった、骸怪我してない」
「ヒバリもっすね」
「怪我はさせないって言ってたもんな」

金属の音っていう辺りから大丈夫とは思ってたけど、目で見てやっと安心した。
お互い攻撃を上手く防いでるから、怪我はない様だ。
床やフェンスは酷い有り様だけど。

「じゃあ、行くよ…」
「はい…」
「!ツナ、」
「?……っ、あ」

ドアノブに手を掛けた瞬間、山本が制止を促した。
何かと思えば、雲雀さんが骸の槍を弾き飛ばした所で。

「骸っ…」
「待て、ツナ」
「落ち着いて下さい、10代目」

丸腰の骸の喉元に、突き付けられたトンファー。
骸は降参の表現の様に、両手をひらひらと振ってみせた。
それを見た雲雀さんはトンファーを仕舞って、骸に追い討ちを掛ける様な事はしない。

「雲雀さん…?」
「あのヒバリが、息の根を止める前にやめるなんて…」

ちょっと信じられない。
だって雲雀さんなのに、相手は骸なのに。
雲雀さんは骸をフェンス際に追い詰めて、何か話してるみたいだ。
流石に閉じた扉越しには、何を話しているのかまでは解らない。

「何話してるのかな」
「開けてみるか?」
「…少ーしね」

音を立てない様ゆっくりドアノブを回して、ほんの少しだけ扉を開けてみる。
そうすれば、小さくだけど雲雀さんの声が聞こえた。
向こうの声が聞こえるって事はこっちの声も聞こえるって事だから、今まで以上に静かに慎重にを心掛けて。

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