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□藤本ゼン様より。
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骸は、雲雀に撫でられるのが気持ち良いのか、目を細めて擦り寄る。
「っ!」
(そんなに無防備にされたら我慢できなくなっちゃうじゃない‥。)
「クフフ、では今日は僕が紅茶を淹れますね。雲雀君は仕事を続けてください?」
骸はそう告げると応接室の奥にある給湯室に向かう。
雲雀は骸が行ったのを確認すると、苦笑しながらデスクに戻る。
「さて、」
友達としてだけど骸と仲良くなった。
勿論骸は僕に対して警戒心なんて持ち合わせてない。
少なからず僕に好意を抱いている筈。
準備は、整った。
‥どうやってそういう関係までもっていこうか。
いきなり過ぎても骸が困るだけだし‥
寧ろ嫌われる可能性だってある。
骸と一緒にいられないなんて堪えられない。
骸に触れられないなんて堪えられない。
(早く骸を手に入れたいのにな‥。我慢出来るのかな、僕。)
「‥長いね」
「何が長いんですか?」
「‥っ!」
雲雀が一人思考を巡らせていると、いつ戻ってきたのか二人分の紅茶をお盆で持った骸が、雲雀の思わず呟いた、返ってこない筈の独り言に返事をした。
「吃驚したよ‥。」
「クフフ、すみません。驚かそうとしたわけではないんですが‥」
自分が声を掛けた事でこれ程まで雲雀が驚くとは思っていなかった骸は苦笑しながら謝る。
「で、何が長いんですか?」
「‥いや、何でもないよ。」
「嘘です。教えて下さい。友達に隠し事は無しですよ!‥それとも、僕には言いたくありませんか?」
「っ‥そんなわけない。」
「それではっ「機嫌悪くしない?」
「は?」
「だから、機嫌悪くしない?」
「??極力努力しますが‥?」
再び問う雲雀に頭に疑問符が沢山浮かぶ骸。
「‥赤ん坊や跳ね馬が言ってたけど、僕達は沢田綱吉がボスのボンゴレとかいうマフィアの守護者ってやつなんでしょ?」
「ええ、まぁ‥」
「それで沢田綱吉がボスになればゆくゆくは今まで以上に強い奴と戦えると思ったんだけど、まだまだ先なんだろうな。と思って。だから長いなって言ったの。」
(ワオ、僕って中々達者だよね。よくここまでベラベラと‥。まぁ、半分は本当に思ってたことなんだけどさ。)
雲雀は自分の口の上手さに頭の中で自画自賛する。
「‥成る程。雲雀君はマフィアを怨んでいる僕の為を思って先程は言葉を濁して下さったのですね‥?」
(信じてくれた‥)
「まぁね。友達の嫌がる話はしたくないからね。」
いけしゃあしゃあと発言をする雲雀に、骸は疑うこともなく、純粋に嬉しさが込み上げ、笑顔になる。
「っ嬉しいです雲雀君‥!‥‥ですが、僕は大丈夫ですのでお気になさらず。交換条件で協力するという形で憎きマフィアに携わることになりましたが、あの三人の身の安全を確保できたので、ね‥」
骸は切ない表情を一瞬だけ露にする。
勿論雲雀はそれを見逃す筈もなく、骸の元に駆け寄りぎゅう。と抱き締めてあやす様に背中を軽く叩く。
「ごめん。君にそんな表情をさせたいわけじゃないんだ‥。」
「雲雀、君‥!だ、大丈夫ですって!ボンゴレなんかいつか乗っ取ってやりますし!その時まで精々呑気に過ごしていればいいんだ!って、違う違う!僕はいたって普通じゃないですか!」
雲雀のただならぬ様子に骸は思わずノリ突っ込みの様な事を口走ってしまう。
「嘘。僕には誤魔化せないよ。さっき一瞬だけ哀しそうな表情になっていたもの。‥僕は骸に笑っていて欲しいんだ。」
雲雀は骸を抱き締めている腕に更に力を込める。
、トクン
トクン
「、雲雀君‥‥。クフフ、雲雀君は本当に優しいですね。」
「‥友達の骸だけにだよ。」