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□藤本ゼン様より。
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『友達以上恋人未満?』


※これは骸が女体化しています。



「おや‥」

黒曜中の下駄箱の前で思わず声を漏らしたのは黒曜第一中学校生徒会長の肩書きを持つオッドアイが特徴の六道骸その人だ。

彼女の風貌は言わずともなく美人である。

その端整な顔立ちに誰もが感嘆の声を漏らす。

そして彼女は顔立ちだけでなく、性格、運動神経、頭脳と、悪い箇所がないと言って良いほど完璧だった。

と言っても、生まれが生まれの為に初対面の人には軽く警戒心を持ち、一歩線を引くのだが。

そんな彼女だが、これ程の条件が揃っていながらモテない筈がない。

そう、骸が声を漏らしたのは自身の下駄箱を開けた時に中から落ちてきた手紙、プレゼント等の自身に宛てられた数々の物へ向けてだった。

「またこんなに沢山‥皆さんお金は大丈夫なんですかね‥?」

手紙だってタダではないでしょうに。
等とズレた事を呟く骸に突っ込みを入れるのは千種と犬とクロームの三人であった。

「骸様、突っ込む所がズレてます。」

「でも骸様可愛い‥。」

「お前はしゃべんら!余計にややこしくなるらろ!」

千種の突っ込みに続いてズレた発言をするクロームに今度は犬が突っ込みを入れる。

「‥しかし、毎日毎日こんなに沢山あると荷物が増える上に運ぶのが大変ですね。」

「そうなんですよね‥」

「食いもんらったら俺が処分しまふよ。」

「‥じゃあ食べ物は犬が担当ね。」

「手紙は読んだら捨てているのですが‥」

「っひゃ〜、わざわざ読んでやってるんれすか。骸さんは優しいれすね。」

「そうですか?これくらい普通でしょう?」

「‥ではその他は全て売ってしまいましょうか。」

「そうですね。‥全く、転入してすぐにこの学校を支配し、恐怖のドン底に突き落としたと言うのに物好きが多い様ですね。」

骸がそう呟くと同時に携帯が鳴り響く。

「おや、すみません僕のです。雲雀君からですねー‥!『今から応接室に来て。』だそうです。」

「むきー!またあのアヒルは骸さんに命令染みたメール寄越してー!」

「クフフ、良いのですよ犬。僕と雲雀君は友達、ですからね。」

骸は至極嬉しそうに微笑み、犬を宥める。

「骸さんがそう言うなら仕方ないびょん。」

「ありがとうごさいます。」

「‥じゃあ骸様、俺達は先に帰ってますね。ホラ犬、クローム、帰るよ。」

千種が犬とクロームを連れて帰るのを見送ると骸も並中にいる雲雀の元へ急いだ。

クフフ、こういうのは良いですね。
なんだか擽ったいです‥
骸は嬉しさの余り笑みを溢す。

骸と雲雀の関係は友達。

骸は友達と言うものに少しからず憧れを抱いていた。

犬と千種とクロームは友達と言うよりは仲間や家族と言う様な言葉が当てはまる。

そんな中、骸に好意を抱いていた雲雀が、一筋縄ではいかない骸を手に入れたいが故に骸との距離を縮めると言う目的の上、友達に憧れを抱く骸に友達になろうと話を持ちかけたのだった。

勿論雲雀の思惑などに気付いていない骸にはその言葉が甘い誘惑の様に聴こえた。

初めこそは雲雀恭弥と友達になる、と言う事や友達とはどういうものか分からないと言う点で少し警戒したり、戸惑いを隠せずにいた骸だが、雲雀が意外にも粘り強く、ついに骸が陥落したのである。

そして今の様な関係になったのだ。

実を言うと、雲雀は骸が友達がどんなものか分からないのを良いことに所々で嘘を教え込んでいた。

例えばー‥



「雲雀君、こんにちはっ!」

骸は応接室に辿り着くと、ノックをして返事を待たずに扉を開ける。

「やぁ、骸。」

骸に気付いた雲雀は書類を書いていたペンを止め、立ち上がって骸の元へ歩み寄る。

「雲雀君、僕に何か用でしたか?」

雲雀が目の前に来ると骸は躊躇いもなく抱き着く。

(柔らかい‥)
「用と言うより、骸と話したかっただけなんだけど‥、それじゃあ駄目なの?」

雲雀もそんな骸を抱き締め返す。

「だ、駄目じゃないです!クハッ!なんだか友達って感じがします!」


雲雀は「友達同士ならハグなんて当たり前。仲が良いからこそするんだよ。」等と骸を言いくるめ、会う度会う度骸を抱き締めているのだ。

勿論そんな習慣は特に日本にはまず、ない。

最初は骸も疑っていたのだが、なんだかんだで雲雀は口が上手く、日本の「普通」が分からない骸は言いくるめられてしまうのだった。

こうして雲雀は自分に都合が良い様な軽い嘘をことあるごとに骸に教え込んでいるのだ。

(信じてる‥。ホントに可愛い‥)
「当たり前じゃない。僕と君は友達なんだから。」

雲雀は苦笑しながら骸の頭を撫でる。
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