3

□たった1つの大切なもの
1ページ/2ページ


「ンっ…ぁ、あぁっ、ぅ、」

「ほら、どうしたの。ちゃんと言わなきゃ解らないよ」


くちゅくちゅという濡れた音が、爽やかな陽光に満ちる部屋に漂う。

未だ陽も高い時間に、1人で使うには広過ぎるベッドで繋がる男女1組。

お互い服を身に付けたまま、必要な箇所だけ肌蹴た状態で。


「きょ…や、様ぁ、」

「ん…?」

「あっ、そこ、…そこぉ!そこ、イ…っ」

「ここ?」

「ひぁあっ!」


元々短いミニスカートを更にたくし上げられ、下着はとうに取り去られているから秘部を隠す物は何も無い。

光に溢れた空間では、夜の様に闇が視界を遮る事も無い。

繋る様子をまじまじと見られ、胸元を惜しげも無く晒すメイド服の少女は、与えられる羞恥と快楽に2色の瞳を潤ませた。


「また泣いちゃって…そんなにイイの」


滲んだ涙を人差し指の甲で拭い、濡れた指をぺろりと舐める。

恭弥様、と呼ばれた少年は、その黒い瞳を愉しそうに細め、震える少女をじっと見つめる。


「答えて、骸」


骸、それが少女の名。

有無を言わせぬ物言いには所有者の力が込められていて、骸は彼の言葉に逆らう事は出来ない。

そう、骸は所有されているのだ。


「恭弥様の、だから、…です。恭弥様だから…イイんですっ」

「ふふ…そう。良く言えたね」


顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で、恭弥を真っ直ぐに見つめる骸。

その返答に満足し、恭弥は骸の乱れた髪を梳いてやる。


「君は僕の専属だから。僕の全ては君が握っているし、君の全ては僕のもの」


常に傍にいて、恭弥の全てを知る者、それが骸。

寝食の世話から、夜伽の相手まで、骸以外に委ねる気は無い。

骸だけが、恭弥の全てに触れる事を許されている。

心も、同じ。


「恭弥様…、貴方にお仕え出来るなら、僕はもう何も要りません」

「良い心掛けだね」

「…好き、です…恭弥様」

「僕も、愛してるよ、骸」


火照る頬を掌で包み、唇を重ねた。

既に躰は繋がっているというのに、たかが口付けで更に鼓動が跳ね上がる。

堪らなく愛しいのだ、この腕の中の存在が。

何度躰を繋げても、何度口付けを交わしても、慣れる筈も無ければ飽きるなんて有り得ない。

ただ1人の、大切なひと。

主人であり使用人である、そんなものどうでも良くなるくらいに。


「きょ、ゃ、さまぁっ…ぁっ、あっ、ぁ」

「もっと、…啼きなよ、」

「…っんん、あっん、ふ、ァっ!」


荒々しく揺さぶって、昂る自身をその躰に深く深く埋め込んで、全てを注ぎ込む様に、果てる。


「っ…はぁ…ぁ…ぅ」

「…こども、出来ちゃえば良いのにね」


この躰に、2人から繋がる命が宿ってしまえば良い。

誰に認められようと認められまいと関係は無いけれど、そうすれば、引き裂かれる事などきっと無くなる。


「恭弥様…」

「なに」

「…孕むまで、犯して下さい…?」


自ら脚を開いて、白濁の伝う蜜壷を晒す骸。

快楽と歓喜に満ちたその表情に、煽られない訳は無くて。



「…後で泣いても、やめてあげないよ」


「やめないで…、ずっと、恭弥様と繋がっていたいんです」





未だ陽は高いのに。







万人に認められる関係では無いのに。












君が欲しい、






貴方が欲しい、








濡れた音は止まない。












ふたりが本当に結ばれるまで。












(ねぇ、逃げちゃおうか)
(僕の為に全てを捨てて下さると?)
(勿論、)

(君以外は全てゴミだもの)











fin.

→Next後書き。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ