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□予測不能カップル
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「あ、」
「げっ」
「お?」

廊下の向こうから歩いて来る人影。
それが個人を認識出来る距離まで近付くと、オレ達は三者三様の反応をした。

「クフフ、こんにちは、ボンゴレ以下2名」

女にしては高い目線から、明らか見下す様な目を向けて来るこいつ――六道骸。
以前は命を狙われていた筈なのに、今はそんな事が嘘であった様に温厚だ。

「誰が以下2名だ、あぁ!?」
「おや恐い…名を呼んだら呼んだでそうして凄む癖に。どうしろと言うんですか」

オレは骸を仲間だと思ってるけど、獄寺君は未だそうじゃないみたいで、骸を見る度こうしてつっかかる。
いつもの事過ぎて止める気もないけど。

「骸、今日はどうしたの?リボーンに呼ばれたとか、」
「いえ、そういう訳では」
「っつーか最近、六道毎日並中に来てるのな。何かあんのか?」
「え、そうなの?」

それは初耳。
確かに、最近よく並盛で骸を見掛ける気はしてたけど、まさか毎日なんて。

「テメーが来ると雲雀が煩ぇだろーが!用も無ぇのに余計な騒ぎ起こしに来んな!」
「骸も獄寺君にだけは言われたくないんじゃないかな…」

雲雀さんが骸を恨んでるのは、
オレ達の中の周知の事実。
敗北を知らなかった雲雀さんを、唯一地面に這いつくばらせたのが骸だった。
そういう経緯だし雲雀さんが怒るのも無理ないとは思うけど、あの執着ぶりはちょっと異常だ。

「兎に角、何しに来たのか知らないけど、雲雀さんに見付からないうちに帰った方が良いと思うよ」
「お気遣い有難うございます。…校舎の破壊は最低限に止めますから、心配いりませんよ」
「戦う事前提に物言うのやめてくれない…?」
「僕も出来ればそうしたいですが、彼が僕を見る度襲って来るのだから仕方ないでしょう?僕にどうにか出来るならとっくにそうしている」
「…だよなぁ」

骸が自ら雲雀さんに斬り掛かる事はない。
毎回雲雀さんが仕掛けるんだ。
今まで何度も戦って来て、それこそ毎日の様に校舎の何処かは新たに壊れて。
よく飽きないものだと思う。

「雲雀さんと骸って、一生和解出来ないのかも…」
「犬猿の仲っすね」


「君達、なに群れてるの」


「!!」
「ッ!」
「お、ヒバリ!」

騒がしい廊下にいながらにして、良く響くテノール。
この町で最も恐るべき声が、背後で響いた。

「チャオ、雲雀くん」
「骸…」

鋭い瞳が骸を捉え、その声が歓喜に震えたのが解った。
ヤバい、骸見付かった。

「ではまた、ボンゴレ」
「…ぇ、骸」

雲雀さんは骸に何かしら目配せして、あっさりオレ達に背を向けた。
そのまま、振り向きもしないで歩いて行ってしまう。
骸もその後に付いて行こうとしてる。

「骸、行くの?」
「見付かってしまったのでね、仕方ありません。此処で戦うよりは良いでしょう」
「でも」
「大丈夫、彼に怪我はさせませんから」

いや、別に雲雀さんの心配なんてしてないよ。
オレが心配なのはお前の方だ。

「骸っ」
「君達は授業に戻った方が良い。昼休みももうすぐ終りますよ」

それだけ言うと、骸は雲雀さんの後に続いて屋上への階段を登って行った。
雲雀さんがディーノさんと特訓してたのも屋上だっていうし、…雲雀さん本気なんだ。

「10代目、行きましょう。ヒバリの奴、こうなったら止まりませんよ」
「うん…でも」
「六道なら大丈夫だって!なっ」
「………」

確かに、骸は強い。
雲雀さんを負かしたっていうのもあるし、確か雲雀さん未だに桜クラ病治ってない筈だし(シャマル談)、いざとなれば桜でも何でも出せば負けはしないだろう。
でも。

「…やっぱり、駄目だ。止めに行く」
「10代目…」
「骸は強いよ。でも骸は女の子なんだ。誰かが、守らなきゃ」
「…ツナ」
「2人は戻ってて良いよ。オレ1人で行くから」

リボーンに無理矢理持たされてるXグローブと死ぬ気丸が、ポケットに入っている事を確認する。
力尽くで止める事も厭わない。
骸を守ってくれる誰かが現れるまでは、暫定ボスのオレが。

「…10代目がそう仰るなら、俺もお供します!」
「よし、行こうぜツナ!」


「…有難う、2人共」


獄寺君と山本の笑顔に後押しされて。




オレ達は、屋上への階段を登り始めた。


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