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□クリスマスフリー
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この時期、世間はクリスマスだ何だと浮かれてる。
此処ジャッポーネの人間なんて大概クリスチャンでも何でもない癖に、イベント事だけは適当に乗るのだから馬鹿らしい。
クリスマスだから何だ。
ツリーを飾る?
何が楽しい。
ケーキを食べる?
何がめでたい。
恋人と過ごす?
プレゼントを贈る、貰う?
…それはそれは、おめでたい事だ。
僕はそんな事しない。
出来ないんじゃない、しない。
自分の意思で、彼の意思で。
別に、羨ましくなんてない。
12月24日、至る所でクリスマスソングばかりが流れる不愉快な日。
クリスマスイヴだか何だか知らないが、たかが冬の1日に過ぎない日。
只今の時刻21時5分前、あと3時間もすればこの不快な日も終る。
「……寒…」
吐き出した息は冬の空気に白く残り、暫し校門に立てられた灯りに照らされ消える。
見上げた教室には未だ電気が付いてる。
僕の好きな人がいる教室。
彼は今日が何の日だろうと関係なく、いつもの様に風紀の仕事を片付けている。
クリスマスムードに流され校内に持ち込まれたプレゼント類を没収し、お菓子類を焼却炉で焼き払い、女生徒の悲鳴が轟いても何も気にせず。
いつも通りの1日を、過ごしただろう。
それが、彼だから。
彼の風紀を乱せば全ては彼によって壊される。
イベント事なんて、風紀が乱れるだけの、最も彼が嫌うものだから。
「…ぁ、」
21時ジャスト。
応接室の明かりが消え、彼の仕事が終ったのが解った。
もうすぐ彼が来る。
風紀を乱した輩が多数出没したであろう今日この日、彼の機嫌はきっと良くない。
きっとむすっとした顔をして現れる。
僕を見たら、彼はそんな表情を少しは和らげてくれるだろうか。
想像したら頬が緩んでしまう。
可愛い可愛い彼、僕を見て綻んだ頬を直ぐに無理矢理引き締めようとするだろう、素直じゃない彼。
あぁ、早く出て来て。
早く逢いたい。
電気の消された昇降口に、黒いシルエット。
それが校門まで歩いて来たのを確認し、門に預けていた体を離す。
「雲雀くんっ」
校門横の灯りに照らされた彼は、やっぱり不機嫌そうな顔をしていた。
考えていた通りの表情に、つい笑いが洩れる。
直ぐに綻ぶだろう彼の頬を予想して、にやける顔筋を必死に引き締める。
けど。
「…骸、何でいるの」
「ぇ」
彼は僕を見て、眉間の皺をもっと深くした。
機嫌、良く、ならない。
待ってたのに。
「いつからいたの」
「…学校が終って直ぐに」
酷く機嫌が悪そうな彼。
質問に正直に答えても、益々怒っていくだけ。
…何で。
「何で応接室に来なかったの」
「…今日はいつも以上に忙しいでしょうから、仕事の邪魔になるだろうと…」
「気を遣ったつもり?馬鹿じゃないの」
何で。
何で怒るの。
僕は、君の事を思って。