短編
□初ぼーいと熟ひゅーまん
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駆逐少年が調査兵団に入ってから数日後、その同期である104期生がやって来た。
「ねぇエルヴィーン、どんな子がいるか見てきていい?」
いつもよりほんの少し甘ったれた声を出して眉間にシワを寄せて書類とにらめっこしている我が団のだんちょー様にお願いしてみるが、
「駄目だ。」
毎年恒例“駄目”を言われてしまった。
しかも今年は絶対に合わせないつもりらしく、
「ラリサは明日ハンジとリヴァイ班の所に行ってくれ。」
と、言われてしまった。
だけど、こんなところで引き下がっては負けだ。
エルヴィンの耳元に向かって
「私と離れたいの?」
と、言ってみるが、
「あぁ、問題ない。」
冷たくあしらわれた。
…へぇ、問題ないのね。
だんだんと腹が立ってきたわ。
ラリサはわざとらしく足音を立ててドアを乱暴に開くと一瞬後ろを振り返り「ズラヴィンのバカ野郎ぅぅぅー」大声で叫んでドアを乱暴に閉めた。
廊下を歩いていると、いつもニコニコしている腹黒ナナバが前から歩いてきた。
「あっ、ラリサ。今日も素敵な叫び声だったよ。で、どうしたの?」
毒舌を吐きながらも私の話は聞いてくれるらしい。
「あのね、エルヴィンが今年も新兵に会わせてくれないの。」
私がそう言うと、「あぁ、そうか、今年はね…。」などと独り言を言うと飛びきりの笑顔で
「あーだってね、今年はラリサの好みがいるからだよ。きっと食べたくなっちゃうようなね。」
「そうなの?見たいな。」
「きっと、エルヴィンはラリサが荒い鼻息を漏らしながら可愛い新兵を追いかけ回す惨めな姿をみたくないんだね。じゃあ、私はこの後新兵と会うからバイバイ。」
ナナバはさっさと歩き出した。
「ちょっとナナバ、どういうことよー!」
その晩、ラリサはエルヴィンに呼び出されて執務室に来ていた。
「エルヴィン、明日からモブリットの代わりのかわいそーな私がわざわざ来たのに何て顔をしているの?」
ハンジのお目付け役のモブリットが酷い胃痛の為にラリサが明日からエレンの実験に参加することとなっている私は準備に追われていた。
それなのに呼び出した本人は怪しい笑みを浮かべて私を見ている。
…嫌な予感。
そう感じて逃げ出そうと足に力を入れるが既に遅し。
エルヴィンの腕に囚われて抱きすくめられていた。
「ちょっとエルヴィン仕事中でしょう?誰か来ちゃう。」
必死に抗議するが、
「問題ない。」
出た、また問題ないだ。
「ちょっとッん…。」
抗議しようと口を開けばその口は妖艶な唇に言葉もろとも吸いとられる。