東京喰種
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今から数十年前、高校生かつ喰種捜査官であった私は高校を転々としながら生活していた。同じ白日庭出身であった貴将とは何度か同じ高校に通ったりもした。
お互い口数が多い方では無かったが同じ立場上の人間であり数少ない理解者であったからか私達は何となく一緒にいる事が多かった。彼が平子君とペアを組むまでは私達はペアであったし、ある意味不自由な身分の私達は本当に小さな自由を同じ空間で共有していた。
ある時までは‥…。
私の身体に異変が起きたのは20の頃だった。ただでさえ私達が誰なのかは今はあえて触れないでおくが私の身体は特殊であったのに不幸が重なったのだ。
20歳の誕生日貴将に言われた一言がきっかけだった。
「なまえ、誕生日おめでとう。昨日より若くなったね。」
この時は何も感じなかった。
なのに、21歳の時。
「なまえ、背が縮んだね。」
と、貴将に言われた時に私は何となく感じていた異変を認めざる得なくなった。
私は誰にもバレ無いように医務室に行き無断で自身の健康診断の結果を回覧した。
そして、私は確信した。
私の身体は20歳の時から1年かけて徐々に1歳ずつ退化し、肉体の中身の年齢は今まで通り通常の人間の倍速で成長しているということだ。私はこの事を出来る時まで隠し通したかった。特に貴将には‥…。なのに、彼には呆気なくバレてしまう。
確信した翌日私はいつも通りCCGに出勤していた。昼休み私は適当におにぎりを見繕い食べていると貴将が無言で隣に座る。
「‥…。」
お互い無言でいるのに隣から貴将の視線が突き刺さている。
「貴将、何?」
その視線に耐えかねて私が口を開くと、
「なまえ、俺に言うこと無い?」
私の心臓は大きく跳ね上がった。
「別に、無いよ。」
平常心を装って返事をする。
「‥昨日医務室に何をしに行ったの?」
それなのに、彼は鋭い瞳で私を追い詰めた。彼は私の身体に気が付いている。
「ご飯食べてからね。」
貴将に隠し通すことは出来ない。
私達は人気のない廊下に移動した。
「この事は誰にも言っていないの。多分貴将の思っている通りよ。私は20歳から1年に1歳ずつ身体は若返っているの。今の私の身体は18歳。来年には17歳になって再来年には16歳、10年後には10歳になる。そのうち私は赤ん坊になって死ぬわ。」
「うん、そうだね。それなら俺が生きている限り##NEME1##の側にいるよ。」
彼はいつもと変わらない口調でさらりと私を安心させる言葉をくれた。
それから私は6年間、実年齢27歳、見た目12歳、肉体年齢、54歳になるまでCCGの死神と共に功績を挙げ、特等にまで登りつめて引退した。
そしてそれから5年後が現在だ。