名探偵
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日本は米国に比べてとても楽だ。
向こうにいるときは全くもって休みなんてなかった。ランチは車の中やデスクで五分以内に胃のなかに突っ込んでいたのにここ日本は我々の管轄外であるからか余裕があった。
久々に外でランチをしよう。
そう心に決めて近くのケーキショップに入りコーヒーとフルーツタルトを頼み席に座り米国の情報を端末で確認していると何やら隣から物凄く鋭い視線を感じた。
あぁ、サングラスを外していないからなのか。そんな風に思ったが外すわけにはいかない。私は電気などに光に目が弱いのだ。なんて、思っていたがそんなわけではないらしい。
眼球だけ動かして視線を辿るとそこにはなんと可愛らしいメガネのボウヤと高校生の女の子、三人の少年少女それとフードを被り眼鏡のボウヤにすがり付く赤毛の多分可愛い女の子。彼女の顔は見えない。
あの視線はメガネのボウヤ?
ボウヤ……本当に?
ボウヤと言う言葉に違和感を覚えた。
それにあの赤毛の女の子…あのこ彼女に似ている。銀髪のあの男が気にかけていた女…シェリーに。
ケーキを口に入れて思考に没頭する。
シェリー。
彼女は確かあの薬を復元して
姉を殺されて
彼女はデータを書き換えた。
そして、あのガス室から消えた。
あの薬は実験の時点で一匹マウスを幼稚化させていた。
と、言うことは彼女が幼稚化していても可笑しくはない。
それに、彼女が改竄したデータは工藤新一。ジンが勝手に薬を彼に使用していた。つまり、シェリーが幼稚化して逃げ出すつもりであれば改竄したことにも繋がる。
つまり、フードをかぶった女の子はシェリー。メガネの鋭いボウヤは工藤新一と言うことか。
全く、日本にも随分と厄介なことがあるものだなぁ。
コーヒーを飲みほして席をたつとメガネのボウヤ…工藤も席をたった。
どうやら私をつけるつもりなのか接触するつもりらしい。
ならば、近くのデパートに立ち寄って
「シェリー酒、ジンを出して。」
2本のボトルを買うことにした。
ふふふ。
角に隠れていた彼は物凄く怖い顔をして私を睨み付けていた。
2本のボトルを受け取ってそろそろかなと思い人が少ない通路に行くと
「あっ」
と、言う声が聞こえだ。
工藤がわざと転んだのだ。
私は彼により彼を抱き起こしてあげた。
その時彼は胸元に入っていた拳銃を抜いて
「あれれぇー?おねーさん。これカッコいい。」
何て言いながらもその目はほんの少しシュウイチに似ていた。
「ふふふ、そうねボウヤ。とても精巧に出来ているでしょう?」
ニッコリと微笑むと彼は私の背負っているバイオリンケースを引っ張った。