名探偵
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「We will start to descend soon, so please fasten your seat belts.」
当機はまもなく降下態勢に入ります。みなさま、お座席のベルトをお締めくださいますよう、お願い申し上げます。
離陸を確認してからPCを閉じ身仕度を軽く整えてサングラスをかけてから席を立ち上がる。
小さな手持ちのバゲッジを引き
“welcome to Japan”
と、言う文字を目で追っナマエはニヒルな笑みを浮かべながらベルトコンベアから流れてくる大きなキャリーケースを手に取りbossに電話を掛けた。
「はい。」
懐かしいbossの声にナマエは僅かに表情を崩した。
『hello,boss.日本に到着したわ。明日から事務局に顔を出すわ。』
用件を出来るだけ無駄なく伝えてナマエは電話を切った。
成田空港から迎えの車に乗り込み米花町まで移動した。
その際、彼女の格好は全身真っ黒。
彼らを連想させる。
「ロゼ…」
銀髪の彼の声が耳から離れない。
私は彼らの連鎖を立ち切るために懐かしい日本に上陸したのだ。
『ジン、貴方に会いたいわ…。』
彼女はそう呟きながら目を閉じた。
ーーー
「ミョウジさん、ミョウジさん…ヒィッ」
情けない声が聞こえだ。
誰かに身体を揺さぶられている。
鬱陶しい。私は飛行機の時差ぼけでまだ眠いのだ。つまり、かなり今の私は機嫌が悪い。これは言い訳だ。
私は空港からホテルに送ってくれた仲間に無意識に、大事なことだからもう一度言うが無意識に銃口を向けていたらしい。
私の送り迎えをするのだからまだ彼は新人だろう。そんな、慣れていない…と、言うよりも私と言う人間を知らない人に恐らく物凄く黒いオーラを出して銃口を向けてしまったのだ。
『ご、ごめんなさいね。』
とにかく今にも顔を真っ青にして倒れそうな彼に謝罪しさっさとホテルに逃げ込むことにした。
ホテルのルームキーを受け取り部屋に入るとまずはバイオリンケースからライフルを出した。勿論コンディションチェックの為だ。それから拳銃二丁と弾丸、毒針や睡眠薬などの薬類、ナイフ、防弾ベスト、工具などの全ての物のメンテナンスをした。
うん。全てとてもいい状態だ。
シャワーでも…なんて思ったがとにかくワシントンとの時差は-5時間であるし、おまけに飛行機の、しかも狭いエコノミーに12時間30分も縛り付けられていたらとてもじゃないけど今起きていられない。
一安心してものすごい強烈な睡魔が襲ってきている。
仕方がない。
寝よう。
私は身体が求めるまま睡魔を取ることにした。