ウサギの物語

□二人の少女No2
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菜摘


「菜摘。」

 後ろから聞きなれた声がして振り向くと、案の定、双子の妹がいた。

「菜月!あれ?トンパさんは?」
「話してたらどこかに行った。」
「ふぅん。何処行っちゃったんだろぅ?」

 辺りを見回すと、ふとゴンが目に入った。銀髪のこと楽しそうに話している。
 邪魔しちゃ悪いかな、と戸惑っていると、ゴンがねぇ、と声をかけてきた。

「んー、何?」
「菜摘は、どうしてハンターになろうと思ったの?」

 ギクリ、として菜月に目をやると、肩をすくめてさぁ?と態度で返された。

「えーっとね、あー…」
「私が話す。元はといえば私だ。」

 言ってもいいものか迷っていると、しびれを切らしたらしい菜月が話し始めた。

「私たちには親がいない。2歳の時、何者かによって殺されてしまった。施設で育ち、6歳になった時、師匠に引き取られ、今まで暮らしてきた。しかし、その師匠は私たちを人身売買しようとした。相当お金に困っていたらしい。私たちは、逃げた。そして、私はもっと強くなってある人に会おうと思った。昔、とても世話になった人だ。その人がハンターだったから、手がかりを得るためにここに来た。それが本当の理由だ。
 菜摘にはただ強くなるためだとだけ言った。裕福になって、幸せを勝ち取るためだと。」

 一気にそれだけを淡々と話した菜月を見て、私は開いた口がふさがらなかった。強くなるためだといわれてここに来た。強くなって、幸せになるためだと、ずっと信じて疑わなかった。
 妹に、そんな目的があったなんて知らなかった。

「きみは?」
「菜摘の双子の妹で、菜月。11歳だ。」
「そっか。おれはゴン。もうすぐ12だよ」

「ゴン…ゴン=フリークス?」
「え、何で知ってるの?」
「昔、ジンに聞いた。私と同い年の息子がいるって。うれしそうだったよ」
「ジンに会ったことあるの?」
「探してる人は、ジンだよ。ハンターになって、あの時の恩を返すんだ」

 菜月の言葉に、古い記憶がよみがえってきた。
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