ウサギの物語

□二人の少女No1
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「んーと、菜月のこと信用してないわけじゃないよ?でもさ、ここ、ホントに会場?」

「うん。ネットでも、びっくりするって書いてる人がいたよ。」

 2人の少女が、ある定食屋の前で話している。
 栗色の髪と目を持つ少女が菜摘・桐谷、黒い髪と目を持つ少女は菜月・桐谷という。
 顔は全く似ていないが、これでも双子なのだ。

「入ろう。」

菜月が言って定食屋に入っていくと、菜摘はそれに続いていった。

「おじさん、焼き肉定食、焼き加減は弱火でじっくりでお願いします。2人分で。」

 菜月が、後から入ってくる菜摘の分も一緒に注文した。

「奥の部屋で待ってな。」

 2人は若いウェイトレスに案内されて、奥の部屋に入った。

「うわぁ、美味しそう!食べても良い?」
「…うん。毒は入ってないよ。」

菜月が匂いを嗅いでからそういうと、菜摘は大喜びで食べ始めた。
…菜月の嗅覚はどうなっているのだろう。

チーン、と音がして、部屋…いや、エレベーターのドアが開いた。

「これ、エレベーターだったんだねぇ。」
「みたいね。行こうか。」

 菜月は、部屋を出て、菜摘がついてくるのを待った。菜摘は、ぎりぎりまで定食を食べていて、ドアが閉まる寸前に飛び出してきた。
 菜月の目に、かすかなあきれの色が浮かんだことを、菜摘は知らない。

「これをどうぞ。頑張って下さいね。」

 2人はいきなり話しかけられて警戒するも、目に小さい豆の人間(?)を見て笑ってしまった。もちろん菜月は表情には出していないが。

「149番かぁ。菜月は?」
「…150。私、少しあっちに行ってるね。馬鹿なこと、しないでよ。」
「しないもん!私のほうが、生まれたの先なんだからねっ。」
「2、3分だけだし、私のほうがしっかりしてると思う。」

 菜摘は頬を膨らませるも、菜月にあっさり交わされ、さらに頬を膨らませる。
 
「あ、あの子、私たちと歳近そうだよ?いってみようよ!!」
「私はいい。行ってらっしゃい。」

 ここで2人は別行動することとなった。
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