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□もし聴こえたら
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主人公難聴設定。苦手な方バックでお願いします。暗くはないです。/錦戸さん目線





特別教室棟へ歩いてると、一人の女子が前を歩いてた。


教科書を抱えてる。

真面目やな。資料なのかなんなのかをいっぱい持ってる。


ちょっとした拍子に彼女の手からノートが落ちた。


拾って名前を見てみる。

1ーB如月春歌。


かわええ字やな。


ノートを渡そうとして声をかけたけど反応がない。


無視された?イラつくわぁ。


肩をポンッと叩くと振り返った。


俺の手の中のノートを見た途端ペコペコと頭をさげていた。



そのとき見えた。


彼女の耳にかかってる補聴器が。


彼女は手をわたわた動かしてた。


手話なんかな。わからんわ。


俺が首をかしげたら彼女はハッとしてスマホを取り出した。


『すみません!ありがとうございます』


超指の動きはや。


なるべくはっきりと「ええよ」って言う。


その瞬間チャイムがなった。


まぁ最初からサボるつもりやからええけど彼女授業とちゃう…?


「如月さん、遅刻するで?」


口の動きでわかったらしい。


彼女はあたふたして走り出した。


クルッと振り向いてもう一回ペコってしていってもうた。



声が知りたい。


性格ももっと。


如月さん…。



謝ってたな。めっちゃ。


彼女の口から「ありがとう」が聞いてみたい。



もし聴こえたら
 

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