short

□見下して、堕とせ。
2ページ/3ページ

暗め/主人公→孤児院生まれ設定



私の生い立ちを知ったら、みんな同情の目を向けるか離れていった。


亮は違うと思ったのに、最近ふと、そんな目を向けてるのがわかる。


そんな目を向けないでよ。


いい人だ、なんてちっとも思わないんだから。


そんなことするなら、別れてほしい。


もっと普通の、幸せな家庭の子と付き合って欲しい。


私のためにも…亮のためにも。


なので。


今日はちゃんと言おうと思う。



呼んだら夜なら来れると言ってた。


だからのんびり待つ。


夜ご飯食べて、お風呂入って。


テレビ見てたらインターホンが鳴った。


「いらっしゃい。」


「ん。」


そっけない返事。


ああ、やっぱりダメなんだね。


「で?話ってなに。」


「あの…、さ。」


別れよう。



はっきりと、亮に届くように言った。


難しい顔をする亮。


っていうより意味わかんないって顔。


まぁ急にきりだされたらそうだよね。


「はぁ!?何でなん?気に入らんことでもあったか!?」


「…同情なんか、しないでよ。私のことなんかわからないくせに!!」


噛みつくように叫ぶ。


隣の人に迷惑かな、なんて考える余裕があるだけ自分も可笑しいや。


「同情なんてしてないわ、アホ。意味わからんな、ほんまに。」


「亮にはわかんないよ。だって違うもんね。住んでた、世界がさ。」


「違うな。だから?」

「だから…。」


言葉につまる。


「だから、とかじゃなくて。もう辛いんだ。一緒にいるのが。」


自嘲ぎみに笑うと亮の手がブンっととんできた。


顔がふれる。


…痛いなぁ。


痛いよ。色んなところが。


「お前…。」


「ごめんなさい、最悪な女っていうのはわかってる。」


「ほんっまやな。サイテーやわ。」


馬鹿にしたようで、同情した笑顔を見せられる。


その笑顔が、だいっきらい。


「本当に、大好きだったよ。」


「俺も、ついさっきまでは好きやったわ。」


「あは。じゃ、うん。そうだね。…バイバイ。」


「ん。」


くるっと背中を向けて歩き出す亮。



自分できりだしたはずなのに涙が溢れてくる。


でももう振り向かないだろうし、泣いてもいいや



好きだったんだよ。心から。


だから、もっと幸せな恋をしてよ。



Have a good time.
(もう永遠に会わないよ。)



Next→
あとがき
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ