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□シャッターチャンス
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学パロ/体育祭/not恋人



「横山くん、こっち向いて。」

「え、なに?」



後ろから声をかける。


くるっと振り向いてきたところをカメラにおさめる。



反射で眉をしかめてる。


「…如月さん何?」

「クラスみんなの写真撮ってるの。」


私のデジカメの中にはみんなの色んな表情。


仲良さげにピースしてうつってる女子、リレー走ってる選抜の子、応援に必死な姿。


体育祭の雰囲気でいっぱい。


「なんで俺だけ不意打ち?」

「横山くんだけ、自然な表情がなかったの。」


横山くん、なんだかカメラを向けられてるってわかってる顔で。


なんだか、もっと自然な表情が欲しい。


「如月さん写真見して。」

「はい。」



画面を見て笑ってる。

みんなの写真見るのってなんだか楽しいよね。


それに、3年生は最後の年だし。


「みんな、ええ顔しとるね。」

「でしょ。なんかみんな素だよね。」

「おん。」



会話がそこで終わる。


によによしながら見てる。


「あ、春歌。次の次の次の競技出るよ。」

「あ、うん。わかった。」


クラスの子が知らせてくれる。


えーっと、100m走だっけな。


疲れる…。


「如月さん何でんの?」

「100m走。」

「ふーん。あ、はいカメラ。」


すごい丁寧にカメラを返してくれる。


そういうところ丁寧だよね。


カメラをちょっと見る。


私の写真のところでとまってる画面。


なんで。なんだかはずかしいな。


「如月さん。」


「うん?」

「頑張ってな。」


そういって微笑んだ横山くんにカメラを向けて、



シャッターをきった。



シャッターチャンス
 

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