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□おとなりさん
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安田さん誕生日小説。
安田さん一般人の大学生ぐらい。




私は3週間ぐらい前にここにひっこしてきた。


今年からやっと大学生になった。


なんだか高校生のときよりも楽。


…だけどやっぱり独り暮らしは何か違う。


家から大学まで通ってたけどちょっと遠かったし。

仕方ないことだとも解ってた。


ちょっとわくわくもしてた。


…甘すぎた。



「…。寂しいなぁ。」


ちょっと視線がさがる。


そのせいで見えてしまった。


虫、虫!?


え、ちょ、なんで。


窓!?窓あいてた!?


っとりあえずこれは無理!


大急ぎで家の外に避難。

靴もはかずに外にダッシュ。


「うわぁぁ…。」


ひとりでへたれていると、急に隣の部屋のドアがあいた。


「ひっ…。」



「…どたどたなにがあったん?」


純粋に心配してそうな声。



うるさくしてたから怒られるかと思ってた。


っていうかお隣さんってこんなに優しそうなお兄さんだったっけ?


そう、安田さんだ。引っ越しの挨拶しようとおもったけど昼いなかった人。



「えと、なんでか、部屋に虫がいて。」


「ほんま?それで逃げてきたん?」


「はい…。」


情けない。本気で情けない。


「うーん。あ、僕の部屋に避難する?」


「え?」


「だって虫だめなんやろ?逃がしてもええねんけど部屋はいったらあかんと思って。」


「いいんですか?」


正直今部屋が汚すぎてちょっと…。



「ええで!あんな、今日僕誕生日でな。ホールケーキ買ったんやけど一人って忘れてたんよ。」


「お誕生日ですか!?おめでとうございます。」


「ありがとう。」



誕生日に迷惑をかけてしまうなんて。


気分最悪かな。


「普通のショートケーキ好き?」


「あ、好きです。」


「じゃあ一緒に食べよ。その方が楽しいよな。それに一人じゃ食べきれへん。」


あはは、と笑って返すと安田さんは部屋に入れてくれた。


今はまだきれいな方っていってる部屋にはいろんな物がいっぱい。


「ちょっと待ってな。クッション…。」


机のしたからかわいいピカチュウのクッションがでてきた。


「ありがとうございます。」


そこに座ると安田さんはフォークとお皿を持ってきてくれた。


「如月さんであってるよな?」

「はい。」


「よし。はいこれ。」


「ありがとうございますっ。」



久々にケーキなんて食べるな。


お皿にとって食べる。


ああ、美味しい…。


「やっぱさ、二人で食べた方がええよね。」


「そうですね。誕生日だったらなおさらかも。」


「ほんまや。如月さんありがとう。」

「えっ!?こ、こちらこそ上がらせてもらったりケーキやらどうも…。」


そのときの安田さんの笑顔がものすごく印象的で。



私が好きになるのに時間はかからなかった。



おとなりさん



(一緒にすみたいな。)
(今でも十分近いけどなぁ。)
(そうだね。)
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