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□きみイロ
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最近なんだか違和感。


嫌な感じとか、視線を感じるとかじゃなくて。


こう…自分の部屋の何かが変わった。


なんだろう。前より部屋にいるとほんわかする。


うーん。なんかが変わったはずなのに。


…自分じゃ気づけないのかなぁ。


こんど友達に聞いてみよう。


そういえば部長にも明るくなったって言われたし。


すごい私が能天気になったかな。


なにか私の周りで変わったかな?


えっと、部署が変わったでしょ。


あとちょっとリップの色オレンジめにしてみた。


うん?オレンジ…。



オレンジといえば私の彼氏の丸山くんだ。



「まさか…。」


部屋を見渡してみる。


分かっちゃった。


私の部屋、どんどんオレンジ色にそまってる。


クッションの色、カーテンの色。


いろんなものがオレンジ色にそまってく。


「私どれだけ丸山くん好きなんだ。」



最近明るくなったのもきっと丸山くんの影響。


色って大事っていうけどほんとだ。



なんかこそばいけれど嬉しい。


「…よし。報告してみるか。」


今は多分、暇じゃないかなぁ。


うん、いつも忙しいけど今は暇だな。



電話帳から丸山くんに電話をかける。


うれっこだけど。多分暇。絶対そう。



「…はい、もしもし。こちらまるちゃんです。」


嬉しそうな、優しいいつもの声。


2コールで繋がるとはさすが。


「あ、丸山くん?私如月です。」


「春歌ちゃんから電話なんて珍しいな!めっちゃ嬉しかったんやけど!」


ちょっと風をきる音がする。


…暴れてるのか手をブンブンふってるのか。


「あのね、すっごくどうでもいいことなんだけどね。」


「僕そういうの大歓迎やで!」


「えへへ。あのね、最近私明るくなったなぁって思ったの。」


「それめっちゃええことやん!」


電話でも喜んでくれてるのがわかる。


こういうとこ大好き。


なんかね、大型犬みたいでかわいい。


「でね、その明るくなった理由探したの。」


「うん。なんやったの?」



「そしたらね、部屋とか小物とかがオレンジ色がおおくなってて。」


「あ、僕の色やんな。ってことは?」


へへへって笑い声が聞こえそう。


「丸山くんのおかげで明るくなったんじゃないかなーって思ったの。だからありがとう。」


「え、感謝!?wう、うん。どいたしまして。」


「私ね、丸山くん好きになってよかった。」



ちょっとの沈黙。


え、ちょ、こっちも恥ずかしくなる。


「しっ、失礼しました!」



通話終了を連打。


画面壊れちゃわないかな。



いい逃げ。


…本心を口に出すのって恥ずかしい、かも。


でも、なんか丸山くんだからいっかって思える。


そうやって私がにやけてるこの部屋も丸山くん一色です。



きみイロ




この気持ちわかりませんかねっ
持ち物とかが好きな人の担当カラーになってるとか。
 

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