short

□笑って
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亮くん私といるときあんまり笑わない気がする。


全く笑わない訳じゃないんだけど。


こう…愛想笑いっていうのかな。大爆笑って感じじゃないんだよね。


テレビの方がよく笑ってる。


私のこと好きじゃないのかな?ってより悔しい。


私よりメンバーに心開いてるみたいで悔しい。


そりゃあね、付き合い長い皆さんの方が話やすいだろうさ。


でもこちらにだって彼女としてのプライドがある。



…あれ私って彼女なのかな?


「ちょ、春歌。俺いんのに一人で考え事せんといてくれる?」


「…。あ、ごめんなさい!はい。なんですか?」


「いや、別に。なんも用はないねんけど。」


首をかしげて用を探してるっぽい。


あ、そうだ。



笑ってもらおう。


「ね、亮くん。頼みごとがあるんだけど。」


「うん?なんでも言ってや。」


「あのね、笑って欲しいんだけど。」

「こう?」


キラって音が似合いそうな笑顔。


さすがアイドルって感じ。


でも見たいのはこの笑顔じゃないんだよね…。


不服そうな顔をしてる私に亮くんも不服そう。


「今のじゃだめだったん?」

「今のもすっごくよかったよ。でも…こう…。メンバーの皆と一緒にいるときみたいな感じが見たい。」


「…ほお。」


いまいちよくわかってない顔。


「つまりね!?心の底からの笑顔が欲しいの。」


「…。」



私がそういった瞬間気むずかしい顔をしてうつむいちゃった亮くん。


え、ダメだった…?



なんか心が痛い。


そんなに心の許されてなかった…?


シュン…となる。


「あっ、春歌!?ちゃうねんで!?誤解せんといてや。」


「…はぁ。」


誤解ってなにが?


「その…。なんか彼氏としての面目というか…。」



うん?ちょっと理解できなくなってきたぞ。


彼氏って言葉は嬉しいけどね。


「亮くん。私バカだから意味わかんない。簡潔にまとめて。」



「春歌の前でカッコよくいたかった!!」


「へ?」


「なんか…こう何事にも動じない感じでいたかったんよ…。」


…なにそれかわいい。


でも正直なところ笑ってほしいな。


「亮くん。笑って。」


「…やっぱぁ?」


「私、笑ってる亮くんのがかっこいいと思う。」


「マジで?じゃあ常に笑うわ。」


「そっ、それはちょっと…。」


終始にやけられたらそれは…。


あ、っと思って亮くんを見ると少し傷ついた顔。


意外にデリケート。


「と、とにかく…。楽しいときは笑ってね。」


「…おん。」


「約束!!」




笑って
 

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