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□星をあつめて
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主人公死ネタ。苦手な人はブラウザバック推奨。



「候。」

「…うん?」


こちらをじーっと見つめてきた春歌。


目が真剣な色を帯びていてなんだか違和感。


最近はヨコとしか呼ばなかったのに。


「私がもし死んでもうたら、星になるからちゃんと見つけてな。」


「…何言っとんねん。縁起でもないわ。」


急に死んだ時の話とか怖。


何かあるんか…?


あ、まさかのプロポーズ?

死ぬときまで一緒にいてね、的な。



…でも春歌の性格からしてそんなじゃない気がする。

プロポーズなら真正面からきそうやもん。


「えへへ、やんなぁ。ごめんごめん。空気重くしてもうたね。」

「まぁええけど…。俺の数少ないシリアスな瞬間やったで。」

「大切な時間あざーす。」


そう春歌は笑って触れるくらいのキスをしてきた。


伏せた目にかかるまつげの影が、春歌の心を読めなくさせる。


なんか不安になる。


春歌が今すぐ消えてまいそうで。


唇が離れて微笑んでる春歌をぎゅっと抱きしめた。


ここにいるのを確認するように。


「急にどしたん。」

「うん…。」


伝わってくる体温。

紛い物なんかじゃない。


「ヨコって照れ屋なんに甘えたやね。」


「うっさいわ。もっと雰囲気重視で。」

「…じゃあ大好き。愛してる。」


「…ありがと。」



その日は春歌は家に帰った。


明日仕事らしい。お疲れ様。


まぁ俺も仕事やけどね!俺最近頑張ってるわ。



でもなんだか心は晴れない。


人って死んだら星になるんかなぁ…。


きれいやん。死んでも輝けるってすてきやろ。





そんな話をした4日後に春歌は死んでしまった。


不運な交通事故。

運転手側の飲酒運転。即死だった。


事故から3日たってもまだ理由をつけていけてへん。


「よこちょ…。今日もう帰ったら?顔色も悪いし…。春歌さんのとこ行ってきたら?」


「っ…。迷惑かけるし。ええよ。もうちょいやん。」


優しいからヤスは言ってくれる。

でもメンバーもヤスと同じような目で見てくる。


「迷惑なんかじゃなくて!よこちょ彼氏やったんやろ!?だったら誰よりも早く行くべきやないの!?」


ヤスが怒鳴った。昔に数回あっただけなのに。


怒ってるヤスの目には涙がたまってる。



…俺ってダサいなぁ。アホやん。


現実を直視できてないだけやん。


このまま家に帰ったら居るんとちゃうかなっておもっててん。


グッと首もとをつかまれる。

身長差があるから下にグッと引かれる。


「よこちょなんか…。よこちょなんかっ。」


「ヤスっ!」


いつもからは想像できないヤスの力。


そんだけ今の俺ってみっともないんやろうな。


睨みつけてくるヤスの間にヒナが入ってきた。


力ずくでヤスを剥がした。


「ヤス、それじゃヨコ行けへんよ。」


なんか的はずれなヒナの言葉。


ヤスは不服そうだけどコクンと頷いている。


それを見てヒナはヤスの肩をポンと叩いた。


そしてこっちを向いて思いっきりビンタしてきた。


ブンッと強制的に横を向く顔。


「はよ行けや。ろくでなしが。」


「…みんなごめん。俺、行ってきて…ええ?」


みんなをぐるっと見渡す。


ヒナと大倉は微笑んでるし、すばるは別にええんとちゃうって顔。


どっくんはよくできましたみたいな感じやし、マルは頷いてる。

ヤスは満足げな顔。


「ヨコ、行ってき。」


背中をぐっと押される。



ほんまに関ジャニでよかった。


急いで車のエンジンをかける。


春歌のオカンに病院は聞いてる。



法定速度なんか無視して急ぐ。



受付で春歌の名前を言うと、看護師さんはペラッと紙をめくった。


あ…、という顔をして、そこまで案内してくれた。



そーっと布をあげてみる。


事故なはずなのにきれいなままの顔。


「春歌、ごめん。俺、来るの遅くなってもうて。」


当然返事はない。


「俺、まだ星、探してへんわ。今日探すから許したって。」


さらっと前髪を横に流す。


おでこに切れた痕がある。


痛かったんやろうな。


「ありがとう。愛してる。」


そーっと、壊れないようにキスをする。


涙が溢れてきて春歌の頬におちる。



いつの間にか病院の先生が後ろにいた。


「助けられず…。申し訳ありません。」

「…っええんですよ。そりゃ悲しいけどこれって約束果たすためやったんかなって。」


ふっと笑うと、病院の先生は何か取り出した。


チャラッとなる音。


それは黒い星のペンダント。


付き合って1年目にあげたの。


「これだけは、壊れていなかったんです。如月さんのお母さんもあなたにって。」


「…ありがとう、ございます。」




星ってこれのことなんかな。


春歌を好きになれてよかったな。




星をあつめて
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