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□ばれんたいん。
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for You Y.


主人公テレビスタッフ設定


今日は、世間一帯ではバレンタイン。

私だって好きな人がいる。


でも、絶対にチョコを渡せない人。

関わりはあるのに、目の前にいるのに迂闊に話しかけちゃいけない人。

だって私の好きな人はアイドルだから。
関ジャニの横山さんだから。

私の目の前できれいな女優さんやかわいいアイドルの方が横山さんにチョコを渡してる。


渡せていいな、なんて思う。

横山さんに受け取ってもらえていいな、なんて思う。


溢れようとした涙を堪え、仕事に集中する。


もらったチョコを横山さんは机の上に置いていた。

そしてこっちに歩いてきた。

半泣きの顔を見られないようにうつむく。

もう行ってくれたかな?と思い顔をあげると横山さんは私のすぐの所で止まっていた。


「あのっ…。何か困ったことでも?」

平静を装って、そう質問する。

チョコ入れる袋とか必要なのかな?なんて思っていると、予想外の言葉が返ってきた。

「いや、その。如月さんからチョコないんかなーって。」

「…え?」

驚きのあまり変な声をあげると横山さんはふっと笑った。

「この仕事で結構お世話になってるし。」

「そっ、そのくらいでその…アイドルの方に渡してもいいんでしょうか…。」


口ではそう言いつつ内心そんな理由があった!!と焦った。

一応チョコは持ってる。

っていっても渡せなかったらお世話になってる先輩に渡すつもりだったけど。

「あー、もうほんまのこと言ってええ?」

「どっ、どうぞ?」

これ断れないでしょと思ったが口には出さない。


「如月さんのチョコ欲しいんよね。」


「はいいいいい!?」

「もしかして彼氏いるん?」

いえいえ、全然居ません。

むしろ横山さんが大好きです。

なんて自分の中で叫ぶ。

「いっ、居ません…。あのっ、チョコ渡してもいいですか。」

「ええの?うわー、なんかねだったみたいで恥ずかしいわ。」


急いで鞄からチョコを取り出して渡す。

「あの、これ受け取って下さい。」

「ありがとう。もうめちゃくちゃ味わって食べます。」


この笑顔大好きだな。

「…好き。」

「…え?」

「…っあ。」

思わず声に出してしまった。

どうしよう。どうしようどうしよう。

「あのっ、聞かなかったことにっ…。」

「その好きは俺に向けて?」

あわてふためく私にそう問いかけてくる。

もういっそ吹っ切ってしまおうか。

そう思った私は案外素直だった。

「そうです…ね。?」

「なんで疑問形。ちょっ、ほんま?嘘ちゃう?」

「はい。」

「如月さん。その、俺もです。」

「え…?」

本当ですか、と聞こうとすると「本番いきまーす」の声で消されてしまった。

「如月さん、後でちゃんと話しましょ。」

「…っはい!!」


泣き虫な私のバレンタイン



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