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□教えてください。
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「ねぇたつ。」


「…うん?」

「欲しいものある?」

「ん〜…」

そう訪ねてもこれという返事しかかえってこない。


今日はたつの誕生日なのにプレゼントがない。


色々考えはしたんだけれど、いいなと思ったものは何年か前にメンバーのみなさんがあげてたり。


たつのことだから食べ物かな?と思ったけど美味しくないものだったらやだし。


そんなこんなで買ってないんだよね…。


「食べ物…かなぁ?」


「うーん…。だよねぇ。」

やっぱりだめか。

こんなことなら前もって亮くんとかヤスくんにきいておいてもらうんだった。


はぁ…。


仕方ない。

せめて言葉だけでも。


たつの目の前に正座する。


「どしたん?春歌」

「誕生日おめでとう。」


そう伝えるとたつは驚いたように目を見開いた。


「あっ、ありがとう…」

「なにそれw嫌だった?」

「いや、めっちゃうれしいんやけど、てっきり忘れられたかと思ったわ。」

「彼氏の誕生日忘れるわけないじゃん。」

「それもそやな。」

とりあえず反応は微妙だったけど伝えられてよかった。


さて、ここからは言いにくい。


でも言わなきゃな…。


「でプレゼントのことなんですケド…」


「うん?」

たつは首をかしげてこちらを見ている。


純粋な目に心が痛む。


「いいもの思い浮かばなくて…」


たつは何かを理解したような目の色になった。


「無いんです!ごめんなさい!」


土下座する勢いで頭を下げるとたつはくすっと笑った。


「別にええで。」
「ホントにごめんね…ってえ?」


びっくりして顔を上げると思い切り抱きしめられた。

「たっ、たつ!?」


「もうめっちゃかわええな。」

頭をぽんとされる。


「でもプレゼント無いよ…?」

「気持ちが嬉しいねん。」


そうやってほほえんでくれたのに顔がにやけてくる。


「来年はちゃんとお祝いするね。」


「これからもずっと祝ってな。」



そういって私はたつの首に手を回した。



「たつめっちゃ好き。」


「俺も春歌のことめっちゃ好きやで。」



「これからもずーっと一緒にいてね。」



おわり。
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