short

□私と君と君と。
1ページ/2ページ


「大倉ー!安くーん!」


「春歌!大倉の名前そんな叫んだらだめやで。」


「うん。普通にごめんなさい。ってあれ?安くんはいいの?」


「僕はええよ。多分おんなじ名字いっぱいおるし。」


「いやヤス、お前もアイドルやで。」

「えへへ。」

「ま、ま。早く食べいこ。」



グッと大倉と安くんの腕をひく。


やっぱり二人と初めて会った頃とは違うな。



二人とは確か、ジャニーズの事務所であった。


私のお兄ちゃんに多分なんか用があったんだと思う。


で、なんでか大倉と安くんと仲よくなった。


大倉のことも最初は忠義くんって呼んでたっけ。


…安くんは安くんだったけど。


「春歌、どこ食べいくん?」

「…やば。忘れてた。マック…じゃだめ?」


「うん。」

「どうやろ。どう?大倉。」

「だめやない?」

「ですよねぇ。」


どうしよう。今日食べいくのは私が予約するんだった。


どうしよう。


二人ともアイドルだし。

ばれたらまずいよね。


「春歌、どうするん?今からとれるとこ探そっか?」


「いいよ、安くん優しすぎ。そうだなぁ…。」


今から予約?でも遅くなるよね。


「あ、私作るよ。家でもいいなら。」


あ、ナイスアイデア。


二人の方を見るとぽかんって顔。

え?…あ、家に来てるのばれたらまずいか。


いや、でも平気じゃん?

普通に幼なじみみたいな。


「だめ?いいと思ったんだけど。」

「はずいや…」

「いやいやいや、ええよええよ!行こう行こう!」


照れてるみたいな大倉にかぶせて安くんが大声だす。


それこそばれるんじゃ?

てか行くことばれたらあぶないわ。


「大倉、いい?嫌だったら別に探すよ、レストラン。」


「いや、行こ。食べてみたいし。」

「本当?保証はできないよ。大倉のが上手いと思う。」


あんまり上手くないんだな…。


まぁ独り暮らししてるし。


ここから電車で4、5駅ぶん。


マンションの鍵をガチャガチャといじる。


二人は落ち着かないそぶり。


ばれたらって考えたらやっぱ落ち着かないのかな。


監視カメラには相当怪しく映ってるだろうけど。


エレベーターで3階にいく。


私は二人と違って一般人ですから。


「さ、さ上がって。」


「おじゃましまーす。」


「おー、久々に来るとめっちゃ女の子の部屋やな。」


「そお?まぁ大倉と比べたら女の子だよね。あ、ソファ座ってて。」


大倉はぼーっとのんびり歩いてるのに安くんはソファにジャンプしてんじゃない?って勢いで突っ込んでた。


壊れないかな?ま、軽い方だし平気か。


丸山くんだったら壊れてるなぁ。


手を洗って冷蔵庫の中を見る。


うーん…。パスタ?ぐらいかな。


「大倉ー、安くん。パスタでいい?」


「全っ然ええ。」

「うん、僕なんでもおいしくたべる。」


大丈夫そう。

二人食べられないものないし。


あ、安くんいくらだっけ?


大倉は本当になんでも食べるし。



とりあえずお湯を沸騰させる。


なんとなくキャベツとかアンチョビとか入れる。


あ、パスタ入れなきゃ。


どのぐらい食べるんだろ…。


ま、入れればいっか。


あ、二人なにしてんだろ。


目線をそちらに向けると二人は仲よく寝てた。


え、なにこれかわいい。


写メ写メ。


あ、パスタあげなきゃ。



パスタをフライパンに移してから、二人をとる。


なんとか皿にもって二人を起こす。


「できた。うん。」


「ほんま?食べる食べる…。」

「うんー…。」


さすが大倉。食べ物が目の前にあれば反応早いな。


「はい、いただきます。」


「「いただきます」」


しっかりと手を合わせてくれるのがなんか嬉しい。


「春歌!めっちゃうまいで!なんか女子の作った味する!」


「うん。うまいで。」


ふっと笑った顔がなんかかっこいい。


安くんはちゃんと起きてからずっと笑顔だけど。


「ありがと。」


なんか恥ずかしい。


やっぱ男なんだな、って思う。


食べんの早いし。


食べ終わってぼーっとしてたら安くんが急に立った。

「春歌、僕帰るな。明日仕事早いし…。」


「あ、本当?大倉は?」

「あー、うん帰ろっか」

「ダメ!!うん。もーっちょといいよ。」


「安くんどうした。」


「…じゃもうちょっと。」


大倉はどこか納得したような顔。

え、何これ。

安くんもなんか満足そうやし。


「じゃ、春歌、ありがと。美味しかったで。大倉、頑張り。」


「…おん。」

「へ?なんのこと?」


「ええねんって。じゃあねー。」

「うん。ばいばい。」


手をふって見送る。


相変わらずでっかいメガネ似合うなぁ。


「大倉ー、がんばれってどゆこと?あ、寝ないとか?」


「違う。」


声のトーンが低くなってなんか怖くなった。


ハッと大倉の方を向くと視界が真っ暗になった。


自分と違う匂い。


でも慣れてる、安心する匂い。


「春歌、好き。」

「…っうん!?」

「好き。春歌の全部が好き。」

「おっ、おお…。急ですな。」

「…ヤスが、頑張りっていってくれたから。」


「そぉ…。」


「で?好き?嫌い?」


「多分好き。」


「多分ってなに。」


だってわかんない。


一緒に居すぎててわかんない。


安くんのことも好きだし、大倉も…。


「じゃあ好きになって。」


「頑張る。」


「好き。」


「…っうん。」




End.



Next→
じゃっきーさんに懺悔。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ