Luvholic

□Luvholic
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JJ side




ただでさえ真っ直ぐに進むことが出来ないというのに



俺は… なんてことを…



『…………ジェジュンア!!』



懐かしく耳の奥に残るその声が受け入れることが出来なかった現実に俺を引き戻した



マンションの地下駐車場に入り車を停めた



『ユ、……』



俺の呼び掛けを遮るように車から降り後部座席の女性を担いぐ



全く動かない……



急に動悸のように脈が速くなり息苦しくなる…



エレベーターに向かう後姿をふらつく足取りで追いかけボタンを押し中へ乗り込む



一言も交わさない言葉……



俺たちを運ぶ機械音だけが不気味に響いた



部屋に着くと何も言わずに寝室まで進みドアを開けた



女性をそこに寝かせると大きく溜息をつく後姿……




ピンポーーーン




『『!!!!!!!!』』



不意になるインターフォンに息を飲んだ



リビングに向かいモニターを恐る恐る覗き込む…



『マネージャーだ』



『あ、うん…』



ロックを解除するとしばらくしてドアのインターフォンが鳴った



『おい!!一体どうするつもりだ!!
お前たち取り返しのつかないことをしたんだ
ぞ!!わかってるのか!!』



『悪い……こうするしかなかったんだ……
もう、俺達に障害を作るわけにはいかなかんだ……』


そう話すユノがあまりにも切ない表情で胸が締め付けられる



『すみません、俺のせいで…』



『そうだよ!!どんな思いで今までこいつらが食いしばって頑張ってきたのか分かるのか!?こんな事に巻き込んで欲しくないんだよ!!』



『ヒョン!!…違う、俺がしたことだ…』



『ユノ……勝手にしろとは言えないんだ、分かるだろ…?……様子を見てくる』



二人にだけになったリビング



会いたくてたまらなかった人が目の前にいる…



『ごめん…俺のせいで、』



『ジェジュン?…元気だったか?』



俺の言葉を遮り真っ直ぐこちらを見つめる瞳



こちらに近づいてくる…



ゆっくり、ゆっくり、



俺を縛り付けるようなその視線が痛くて顔を伏せた…



『う、うん…ユノは?
忙しそうだけど、体きつくない?』


その気持ちが伝わるのが嫌でありがちな言葉を継ぐんだ



『ジェジュン…』



俺の大好きだった手がそっと右頬を包見込み
大切なものを触るようにそっと触れる
冷え切っていた頬にユノの手の温もりが伝わる


そんなに大切にしてもらう資格なんかないのに…



『こんなに痩せて…ッ!』



消えるようにで呟くと息が止まるほど強く抱きしめられる…



何度も頼った事のあるその胸は、あの頃より痩せていた



『ユノっ!!ごめんっ、…俺、』



『会いたかった……ジェジュン』



ユノの左手が俺の頭を優しく撫でる…



『もうつらい思いはさせない。俺が守るから…』



違うんだユノ、俺に優しくしちゃダメだ…
ユノを頼っちゃダメなんだ…



『ああ、わかった。そこまで迎えに出るよ。じゃあ、悪いけどよろしく頼む』



寝室の方からマネージャーの電話で話す声が聞こえてきて体を離す




『気を失っているだけみたいだが、信頼できる知り合いの医者に診てもらえるように頼んだ。近くまで迎えに出てくる』



『わかった。ヒョン、…ありがとう』



無言で振り向きもせずに出て行ったマネージャー。その背中が彼の入り混じる気持ちが伝わって来たけど、ここにいてくれる事が有難かった
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