Luvholic

□Luvholic
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YH side



仕事の後マネージャーと一緒に夕飯を済ます



活動も順調に進みだした
期待より不安ばかりが広がり目に見えないものに追い立てられるような毎日からも解放されたような気がする



『せっかく早く仕事が終わったし
明日も早いから帰ってゆっくり休もう』


『ああ、』



息をするだけで体温を奪われるような寒さとは裏腹に高揚していた



今まで見えなかったこれから先が見えてきて自分への期待で胸が膨らんだ




こんな気持ちいつ以来だろう…




二人で前に歩き出した時
全ての事に臆病になってしまった心を取り戻し切れていなかった弟もここ最近は目に自信が見える



ハードスケジュールで疲れた体も
充実感と差し引くと何の苦痛もなかった



心地いい疲れと満腹感
幸せに眠れそうだ…







突然背後から車のブレーキ音が聞こえ振り返る…







車の前に横たわる人…




どこか見覚えのある車…
いや、俺が見間違えるはずなどなかった



一瞬固まった体が動きだし倒れた人へ駆け寄る



『大丈夫ですか?!』



声を掛けても反応がない…



もう一度安否を確かめようと女性の体を少し起こした時




降り積もった雪よりも白く青ざめた姿で運転席から降り凍りついたようにその場に立ちすくんだその姿…



もうどれだけその姿を見ていなかっただろう



俺の隣で笑っていたあの頃とはあまりにも違ったその姿が痛々しい…



マネージャーが電話を取り出す




『大丈夫ですか?!』



もう一度声を掛けるが意識は戻らない



俺の声に反応したのか体を震わせながら次から次へと涙を流しだした
徐々にすすり泣く声が大きくなり荒くなる息遣い



『もしもし!!』



マネージャーも車を運転していたのが誰だか分からないはずがない



どこかに電話を掛けるマネージャーの声が聞こえて考えるより早く体が動いた



咄嗟に女性を抱え上げ車に乗り込む



『おい!!ユノ!!』



マネージャーが俺を呼ぶ



女性が倒れていた場所を茫然と見つめながら嗚咽をあげて立ちすくむその人の名前を呼んだ




『ジェジュン!!』




久しぶりに言葉にして呼んだその名前



俺のそばから姿を消しても



心の中でその名前を呼ばない日などなかった
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