トリコ 短編
□君が笑ってくれるなら。
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「なぁ、リンの好きなタイプってどんなん?」
「えっ」
とある休日、ふいのオレの問いにリンが目を丸くさせたあと、
「どうしたの?急に」
と、くすくす笑いだした。
リンが喋るだけで、なんかこう…
胸のあたりがこそばゆくなる。
それが、‟"好き"って事だと気付いたのはついこの前。
「いや、そりゃお前…」
気になったやつの事を色いろ知りたいって思っちまうのは当たり前で、
つい、そんな事を聞いたのだ。
言葉に詰まるオレにリンは口を開いた。
「えー、じゃぁボギーから先に教えてよ」
「え゛ッ…」
「そしたら、私のも教えるからさ」
「な、なんだそりゃ」
そ、そんなん、ただの告白じゃねーか。
みるみる顔が赤面していくのが自分でも分かる。
「ボギー顔真っ赤だよ、」
「う、うっせ!この話は終わりだ!」
「えー、ボギーから言いだしたのにー」
「だーもー!仕事でもしてろ!」
「今日は休日だよ〜?」
「くそ!」
そんなオレの様子をリンは可笑しそうに笑った。
好きなやつの好みすら
聞けねーとは情けねぇもんだ。
でも
ま、いいか。
今この瞬間、
君が笑ってくれるなら。
どうしてか、こんなにも小さな事を
すげー嬉しいと思ってしまうのは、
相当君に惚れてる証拠。