トリコ 短編
□恋と毒
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「ココさん」
窓の外から優しい光が射す僕の家で
ふいに リンに名前を呼ばれる。
「ん?」
久しぶりに占いとハントがオフの為、僕たちはただゆっくりと二人の時間を過ごしていた。
「ココさん、最近キスしてくれないね」
「そんなことないさ」
「そんなことあるよ」
真剣な リン。
知らぬ間に僕は、君を不安に
させていたのだろうか。
僕は、読んでいた本を閉じた。
「知ってるとは思うけど、僕は毒を持っている……毒人間なんだ。」
「……」
「君を傷付けたくはない」
と、いうのはただの口実。
本当は君に触れたら きっと
理性が切れて、歯止めが利かなくなってしまいそうな気がして、
この頃は、君に触れることさえも避けていた。
それでもリンは微笑みながら答える。
「だって、気づいちゃったんだもん 」
「……何に?」
「ココさんの毒が、私にとっての適合食材だって」
……そんな事を言って
これ以上、僕の心を
掻き乱さないでくれ。
全く……君は。
「本当に……困った子だよ」
せがむ リンに
僕は軽いキスを落とした。
恋という名の 毒に
犯されてるのは むしろ
僕の方なのかもしれない。