ヒロアカ短編

□アタックは等身大で
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「はぁ〜〜……」


おいおい、今日 何度めのため息だ。
聞かせれる こっちの身にもなれ。



後ろの席から 大きなため息が聞こえる度 俺もついつい重い気分になる。



我慢出来ず、思わず振り返り、





「あのなあ、名無しさん。1日に何回ため息付いたら気ィ済むんだ?」


机に頭を突っ伏した 名無しさんは、暗い顔をゆっくりと上げる。



「ため息位付いたっていいでしょ」

「いいけどよぉ、うしろで何度も 落ち込まれっと さすがに 気ぃ散るわ」

「ひど〜。どうせ 切島には分かんない悩みよ」



ほう。じゃあ、その悩み分かったら 落し前付けてくれるんだろうな。



「おい、俺が どんだけ脳筋だと思ってるか知らねえけどよ。悩みあんなら言ってみ?」


「自分で 脳筋って普通言う?」


吹き出す名無しさん。
今日初めての笑顔だ。


やべ…。可愛い。いや、じゃなくて!


「い、いいから!何で悩んでんだよ」


どぎまぎしながら 問うと、名無しさんは小声で呟いた。




「…んー。なんていうか。失恋…?」





どき。




「ま、告白した訳じゃないけど。好きな人に好きな人がいるって分かって 玉砕…みたいな…?」



笑って話してはいるが、今にも泣き出しそうな名無しさん。









ダメだ…悪りぃ、名無しさん。








こんなの 全然 男前じゃねえし、すっげえ カッコ悪りぃけど。





だけど、






「なあ、名無しさん」



「ん?」




「弱ってる所に つけ込むマネしちまうけどよ」







勝ち方に こだわってられる程 俺、余裕ねぇんだわ。






「それって 俺にも、チャンスあるって事で いいか?」









男、切島。


カッコ悪りぃけど 等身大で行ってやらあ。

*


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