ヒロアカ短編

□俺以外、禁止。
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雄英高校寮、ハイツアライアンス。
ヒーローになるための 毎日の授業も、友だちとのお喋りも、全部が新鮮で楽しい。

特に 体を目一杯動かして 疲れた日のお風呂が たまらなく好き。


「寮のお風呂って、家のお風呂よりも大きいから、ついつい気持ちよくて 長風呂しちゃうな〜、あっつー…」


名無しさんが 風呂から出ると、同時に



「お、名無しさんも風呂だったんか。つかスゲえ汗!」



同じクラスの切島くん。
クラスでも ちょっと怖い爆豪くんや、他のクラスの人たち、誰とでも仲良く出来ちゃうすごい人。



「切島くん。うん、つい長風呂しちゃって。これじゃ汗流した意味ないかな」

「だな、もっかい入った方が良くね?」

ギザギザな歯を見せ大口で笑う。

「切島くんは、今からお風呂?」

「ああ、……うん、まあ、そう…」

「?」



さっきより 言葉の反応が鈍い。
目も何やら ウロウロしている…?


「切島くん? どうしたの、何かあった?」


切島の顔を覗き混むと、彼は 辺りをキョロキョロ見渡し、誰も居ない事を確認したあと、小声で呟いた。



「名無しさん…。なんつうか、Tシャツのし、下、」

「下?」

「なんか、キャミソール?とか、タンクトップ的なの着た方が良くね?」


目のやり場に 困っていた理由は、
名無しさんの 風呂上がりのTシャツ…。


汗をかいたので、Tシャツが体にぴったり張りついている。

風呂から 部屋までは 遠くないし、何より暑いため、
いつも 上に着るのは 下着とTシャツだけ。


「わっ、し、下着、透けちゃってたんだね…! は、恥ずかしい…、教えてくれてありがとう、言い辛かったよね、ごめんねっ…!」


慌てて 部屋へ戻ろうとすると、


「名無しさん、これ!」


振り向くと、切島が着ていた パーカーを 羽織らせられていた。


「これ、羽織ってけ」

「え、あ、うん、ありがとう…」

「そんで、部屋着くまで パーカー脱ぐんじゃねーぞ」

「…うん?」



下から上までチャックを閉めた 切島は、風呂上がりのような 真っ赤な顔をして言う。






「なんつーか…。こういう姿、他のヤツに 見られたかねえっつーか。」


「えっ…」



















「俺以外、マジで禁止にしてえっつったら……お前、どうする?」




体が熱いのは、もうお風呂上がりのせいじゃないかも。


*


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