イナイレ 短編

□誰のせいだと思って…
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授業が終わり、部活の時間。
早めに部室に着いていた風丸と名無しさんだったが…


「すごい雨だな」


部室から 窓の外を見ると、灰色の分厚い雲が町全体を覆っている。


「午前中はあんなに晴れてたのにね」

「ああ。これじゃ今日の部活は休みかもな」

「これじゃしかたないよ」


強い雨と共に、近くから雷の音がしていた。



瞬間、





耳を塞ぎたくなるほどの 大きな音を響かせ 近くに雷が落ちる。

そのせいか 部室の電気も停電してしまった。



「きゃっ…!」

「え、ちょっ、名無しさんっ」








風丸が動揺したのは 雷鳴でも停電でも 他でもなく



「名無しさん、そ、そんなに くっついたらっ…」



薄暗い中 自分の胸に顔をうずめる名無しさんの感触。


「あっ ヤダ 今離れないでっ…!」


相当雷が怖いのか、名無しさんは風丸に ぴったりくっついたまま 離れようとしなかった。



「(…どうしろと…)」





この状況に風丸が 動揺を隠せないでいると、いつの間にか ぱっと視界が明るくなる。
どうやら電気が復旧したようだ。


名無しさんは安心したのか 小さくため息をつきながら 風丸を見上げた。






「はあ、怖かった…。急にくっついちゃって ごめんさないっ…あれ…風丸くん?」


「…」



「顔、真っ赤よ? どうしたの?」


「……(…自覚なし、か)」


風丸は 自分を見上げてくる名無しさんから目をそらした。




「…頼む。この距離で見つめないでくれないか」


「?」



そんな目で見つめられたら




「(…うっかりどうにか しちゃいそうだ)」

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