弱虫ペダル 短編

□王様ゲーム?
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「「王様だーれだ」」





と、どういう事か ノリだけで始まってしまった 箱根学園の自転車競技部による王様ゲーム。


「ア、俺だ」

と、荒北はやる気のなさそうな表情でくじを引いた。


「ほう、荒北が王様か。何を命令するのだ」

隣でわくわくしている東堂を横に、荒北は、


「あー。じゃ めんどクセェし。手っ取り早く2番と5番がポッキーゲーム」


そう言うと、荒北の向かいに座っていた名無しさんとその隣の新開が、2番と5番のようだった。




「え、新開くんと、私っ…?」

焦る名無しさんをよそに、新開は

「うーん。ポッキーゲームか。発想は悪くないけど、肝心のポッキーがな」



「ないのなら仕方がない、他の方法でいいか、荒北」

と、福富が荒北に問う。

「あァ、いんじゃなァイ?」


「あ、ちょっと待って、靖友ポッキーがないならこいつはどうだ」

すると、新開はなにか思いついたように、あるモノを取り出した。


「それって、パワーバー…?」

名無しさんが問うと、新開は笑顔で「ああ」と頷いた。

そして、日常の動作のように新開はその袋を破り、


「ほら、オメさんもくわえろ」

「え、ちょ、ホントにするのっ…!」

「?、ポッキーよりは栄養価はいいぞ」

「そ、そういう問題じゃないってば。恥ずかしいじゃない」

「大丈夫、すぐ終わるって」

そう言いながら、新開が咥えるパワーバーが名無しさんへと近づいてくる。




「ちょ、新開くんてば、無理よっ…、だ、だいたい、ポッキーじゃないんだからっ」

「?」

名無しさんは赤面しながら新開へ言い放つ。



「…こ、こんな太いの無理っ…!」




こんな太いの 無理っ…!

こんな太いの 無理っ…!












―プツン…(新開の何かが切れた音)




「…し、新開くん?」


急に動きが止まった新開を不思議に思い、彼を覗き込んだ名無しさん。

が、時すでに遅し。




「名無しさん、おいで」

「え、なに、どこ連れて行く気っ、」

「いいから、二人でゲームの続きをしよう」

「え、なに、やだ、その微笑!何か企んでるっ…!!」



新開は名無しさんを連れ、部室を後にした。


残されたパワーバーを見つめながら、部員は総じて思った。






「「(絶対、違うもの咥えさせる気だ!)」」


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