弱虫ペダル 短編

□さからえない
1ページ/1ページ


何気ない 休日。
彼の部屋でまったり時間を過ごしていた名無しさんに、ふいに



「なァ、名無しさん 今日って安全日ィ?」


と、まるで「今日の夕飯なに」のような口調で聞いてきた。

「え、なに。いきなり」

少し驚いた表情で返すと、彼は

「いやァー なんつーか。久しぶりに思い切り雄になりてェなーなんて」

「ぷ、なにそれ。靖友なんていつも雄になってるようなものじゃない。オラオラーみたいな」

「は、そのオラオラーっつー俺の事が好きなのは誰だっつー話ヨ」


「…もう」


そう苦笑した名無しさんを引き寄せ、彼は優しいキスを落とした。







「…靖、友」







「名無しさん、」

「…ん?」


彼は名無しさんをきつく抱きしめた。






「雄んなってもいィ?なんか、すげェめちゃくちゃにしたい」



その言葉に、短く「うん」と返すと、彼は




「…やっぱやめた」

「…めちゃくちゃに、しないの?」












「…めちゃくちゃ、優しくする」



「ん」





彼はそう言うと、名無しさんに静かに覆い被さった。



きっと、




彼の優しさには、多分一生、さからえない。

­



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ