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□ただいまから始まる物語
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「ただいまぁ、愛月ひかる」



「おかえり、あすか」



あすか、とは同棲中の恋人、朝夏まなとのこと。



みんなまぁ様、とかまぁくん、とか呼ぶからプレミアム感あるでしょ、この呼び方。



「お風呂わいてるから入ってねー。私ご飯作っとくから」



返事もなくとぼとぼとお風呂場に歩いていくあすか。



ちょっと様子がおかしい?まぁ少しほっといてあげるか。





あすかが髪を乾かしたのを見計らって、食卓につく。



「いただきまーす」



「…いただきます」



ん?やっぱり何かで落ち込んでる?



いっか、聞いちゃえ。



「どうかした?」



「うーん…」



答えにくい様子…



「何かあったなら聞くけど…」



「うん、あのさ、愛月ひかるはさ、雪組すきだよね」



「う、うん?そうだけど?」



話が読めない。それがあすかの悩み?



「宙組、半年くらい観てないよね…」



ははーん。なるほどね。



そりゃ自分が出演してる舞台、恋人に観せたいか。



「もしかして私が雪組ばっかりだから落ち込んでるの?」



「うん……」



お?やけに素直だなぁ



普段の『キザで若干S、だけど優しさ持ち合わせてますよ』的なあすかはどこへ。



まぁかわいいからいいけど☆



「実はね、宙組観てるよ」



「え?」



驚くのもそれはそのはず。



「あすかにチケット取ってって言ったら取ってくれるんだろうけど、それであすかに変なプレッシャーかけたくなくてさ 隠れて自分で取ってました てへ☆」



「………………愛月ひかる大好き」



「ふふふ、さすが朝夏まなとの彼女でしょ」



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