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□明けの明星
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ぼくは、森の中にいる。

ここは ぼくのお気に入りの場所、いちばん静かな場所。

めのまえの木は、この森でいちばん大きな木。

夏なのに、涼しい。

木の根元にすわって、ぼくがいちばん好きな本を開く。

どのページまで読んだかな。

いつもとおなじ森の景色が目のはしっこに映る。

昨日とちがうページを開いて、数字の世界に入っていく。

それは、いつもとおなじ。



くさと土の色しか見えないはずなのに、今日はあか色が見えた。


 『驚かしちゃった?ごめんね』


あかく短い髪をかぜになびかせて、その子は笑っていた。





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