The Grimoire of ...

□はじめに
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……昔々のある国にいたお姫様のお話です。


お姫様は早くにお父さんをを病気で失っていましたが、お母さんやお屋敷の召使達に大切に大切に育てられ、それはそれは幸せな生活を送っていました。

お姫様のお母さんは実は強い力を持った魔女で、お姫様もまたその力を色濃く受け継いでいました。
お姫様のお母さんはそれを貧しい人々や困っている人達のために使っていたので、たくさんの人達から慕われていたのです。

そんなお母さんを見てお姫様は思いました。

『いつか自分も魔法でたくさんの人を助けたい』

幼いながらもそう決意していたのでした。

しかし穏やかな日々は突如崩れ去ってしまいます。
お姫様の力が欲しいと考えていた悪い人たちが兵を連れてお屋敷に乗り込んで来たのです。


もともと女の人しかいなかったこの屋敷はあっという間に囲まれ、お姫様も彼女のお母さんにも残された時間はあと僅かとなってしまいました。


「この子にはこれからたくさんの未来が待っている。なのにそれを奪うことなんてできない」


お母さんはある一つの呪文を唱え、女の子を扉の向こう側へと閉じ込めたのです。


その呪文は、女の子を全く別の世界に隠してしまうというものでした。


やがてお屋敷は燃やされ、不吉な場所と恐れられ誰もその屋敷に近づくことはなく、人々の記憶からもその薔薇屋敷の歴史は薄れて行ったのでした。

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