届いてほしい願い

□はじめまして柳森奈二乃です。
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えーどこ行っちゃったのー?あの短い間にすぐに消えちゃったよ、ねぇこれからどうすりゃいいのさ!?まだ自分の部屋がどこかもわかってない状態なんだけど!?あー何か考え事するときに周りをシャットアウトして自分の世界に入る癖直さねえと。どこ行ったんだ良守ー!?ここで叫ぶのもいけないし……今頼れる人良守しかいないんだけどなあ。

「ごめんごめん!」

バタバタと足音が聞こえてその音をたてている主を見ると良守だった。

『どこ行ってたんだ?』

よかったよかった。戻ってきてくれた。結構孤独感あったけど気にしない!

「ちょっと電話してた」

『電話?』

なんだ電話かあ。てかこの短時間に電話しようと即行動起こせたこいつすげえ。……一応良守年上なんだからこいつ呼ばわりはダメだな奈二乃よ。

「ああ、うちにある服でお前が着れそうなの無いから頼んできた」

『私男物でも気にしないけど』

「……気にしろよ。まあこれから持ってきてくれるって話だからそれ貰ったら風呂入れるぞ!」

ふーん。それって女の人の服なんだよねこの流れ。シンプルな動きやすい服だといいんだけどなあ。このトレーナーみたいなヤツでいいんだけど、ホント。


ピンポーン


「お、来た来た」

良守が玄関(おそらく)の方へ向かっていったのでついていく。扉が開く音がしてお邪魔します、と声が聞こえた。玄関に着くと女の人がいた。髪長いなー美人さんだ。この人かな良守が呼んだ人。

「ごめんなわざわざ来てもらって」

「あたしも今暇だったからいいわよ。それよりこの子?良守が言ってた女の子」

「ああ」

女の人がこっちを向いてこんにちはと言ってきた。笑顔もかわいい人だあ。優しそう。私もこんにちはと返す。

『良守の彼女ですか?』

と付け加えて。

「柳森!?ちょ、お前何言ってんだ!?」

うっわ、すんごい動揺してる……

『違うの?』

「いや時音はその……」

チラッと時音さん(多分)の方を見て様子を窺う良守。時音さん(多分)は何よ、と放ち良守がうなだれた。そこで時音さん(多分)はため息を吐き私に向き直った。

「彼女じゃないわよ」

だってそれ以前に告白とかされてないし。そう言って良守がさらにがっくりとなった。

「あたし雪村時音。あなたは?」

いきなりだな。時音さんと確定されたのは良かったけども。私も名前言わないとな。

『私は柳森奈二乃です』

「そう奈二乃ちゃんっていうのね。これ良守に言われて持ってきた服。サイズ合うかしら?」

そう言って紙袋を渡してくれた。チラリと良守の方を窺うと良守はまだ復活ならず。

「あんたもいつまでそうやってんのよ!」

ゴンッと頭に素手で殴り良守がうわ!?殴った!?と言ってやっと復活。お見事です時音さん。

「ちょっと話あるから良守借りていってもいい?」

『はい』

「なんだよ時音ー!説教か!?」

そのまま返事なしでぐいぐい引っ張られていく良守。かろうじて風呂場の場所を言ってくれて扉が閉まった。






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